2話 - 1 ページ22
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それから数日後の朝。
片桐さんにはあの日以来会えていないし、お礼もできていない。
……何かあったのかな。
学校へ向かう途中の商店街で、前から開久のツッパリが何人か歩いてくるのが見えた。
片桐さんの姿を探すけど、そこには居なかった。
「うわ〜‥…片桐さん居ないなら絡まれたくないな〜」
あんた達なんか見えてません風を装っていたけど、それも無意味に終わった。
「おい、ねぇちゃん。聞きたいことがあるんだけどよ」
「なんですか」
ツッパリに声をかけられ、警戒しながら私は応えた。
「石橋と吉村っていう女装趣味がある男知らねぇか」
そう聞かれた私の心臓がドキッと飛び跳ねる。
……けど、私は平然を装った。
「うーん……聞いたことないですね‥…」
あながち間違ってない。石橋と吉村なんて人知らない。私が知ってるのは三橋と伊藤だ。
「そうかい。突然悪りぃな」
そう言って開久の集団は去ろうとした。
……もしかして、あの人たちなら片桐さんのこと知ってるんじゃ……。
「あの……!!!」
そう思ったら、私は開久を咄嗟に呼び止めていた。
「……片桐さん、お元気ですか」
「お前、智司さんのダチか?」
「ダチというか……前に助けていただいたので気になって」
「ああ、智司さんはいつも通りだ。最近はピリピリしてっけどなぁ」
「……いつも通りなら良かったです!それじゃ」
開久を呼び止めたのは片桐さんの様子を聞きたかっただけなので、私は逃げるようにその場から去った。
片桐さん、みんなから智司さんって呼ばれてるのか。
慕われてるんだなぁ。
……それより、あのヤクザと開久が繋がってたなんて。ツッパリとちょっと仲良くなって、早速恐れていたことが起こりかけている。私は狙われていないけど、三橋くんと伊藤くんが狙われている。
……片桐さんが最近ピリピリしてるのは、三橋くんと伊藤くんを探しているからだったりして……?
片桐さんにどこかで会っても、いつも通りに振る舞って、石橋と吉村なんか知らないふりしよう。
私がツッパリとなるべく関わらないようにしてるの、片桐さん知ってるし。私は疑われない。石橋と吉村なんか知らない!私はツッパリなんかと仲良くない!
なんていったって、私はちょっと強いだけの普通の女子高生だから。
自己暗示しながら、私は学校までの道を急いだ。
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こいずみ(プロフ) - 青龍 葵さん» コメントありがとうございます!返事が大変遅くなりましてすみません、、!!久しぶりに更新しました。またお楽しみいただけると幸いです!! (2021年10月21日 23時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - 更新を楽しみにしてます。 (2021年5月3日 5時) (レス) id: e10675e39d (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - hiroさん» ありがとうございます!! (2020年8月18日 11時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
hiro - とても面白かったです!更新楽しみにしています!頑張ってください! (2020年8月14日 1時) (レス) id: ed14337de3 (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - 豫さん» 果たしてお家デート(?)なのでしょうか!!笑 きゅんきゅんしていただけて嬉しいです〜!! (2020年8月8日 1時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こいずみ | 作成日時:2020年7月31日 16時