11 ページ12
.
帰りのホームルームが始まる直前。
「Aちゃんちょっと来てくんね?」
いつの間にか戻って来ていた三橋くんに腕を引かれて外に出る。
「ねぇ三橋くん、どこ行くの?」
「成蘭女子じゃ」
それを聞いて、朝の光景を思い出す。
「京子ちゃんと明美ちゃんに何かあったの?」
「えっAちゃんあの2人のこと知ってんの?じゃあ話早いわ」
そんなことを話してるうちに、成蘭の校舎に入る。
「はい、これ」
そう言って三橋くんに渡されたのは、成蘭の制服だった。しかもロングスカート。
「えっ何?話が読めなさすぎるんだけど」
「着替えたら話すから、それ着たら隣の教室に来てくれ」
三橋くん、昨日すごいキメ顔で私と話してたのに、なんとなくだるそうで不安げで雰囲気が違いすぎる。
「なんで成蘭の制服なんか……」
とりあえず着替えて、私は隣の教室に入り、その光景に愕然とする。
「…………何その格好」
そこには、成蘭の制服を着てカツラを被ってメイクをした三橋くんと伊藤くんが居た。
「…………何でAちゃん?」
伊藤くんも私を見て驚いている。
「いや、私もそっくりそのまま質問を返したい」
「Aちゃんよ」
三橋くんが真剣な顔をして私を見る。
私は頭の上にハテナがいっぱいだ。
「もし俺らがやられたら、Aちゃんが倒してくれ」
「ええ……何それ……」
伊藤くんはこのやり取りに困惑した。
「いや、倒してくれって、Aちゃん普通の女の子なのにお前何言ってんだよ」
伊藤くんのその言葉で、私は三橋くんにだけ不良を倒したのを見られたことを思い出して焦る。
「言わないでって言ったじゃーん!!!!ねぇ三橋くん!?!?」
「どういうこと!?」
伊藤くんは更に混乱した。
「ええい!うるさーい!詳しいことはあとじゃ」
三橋くんが両手をピーンと上にあげ、事情を説明し始めた。
「京子ちゃんが変な奴らにつきまとわれて困ってるから、そいつらを退治して欲しいんだとよ」
「それで女装って……っていうか、昨日佐川くんたちのこと2人で倒したならそんなの楽勝でしょ」
「そうだ楽勝だ、いやもう楽勝でしかない、勝てる気しかしない」
食い気味にそう答える三橋くん。
「いやお前、Aちゃん来る前にめちゃくちゃ不安がってたじゃねーかよ」
伊藤くんが突っ込む。
「えっ、そうなの?」
「うるせぇ、んな訳ねぇだろ。とりあえず行くぞ」
そう言って教室を出る三橋くんに続いて、私も教室を出た。
375人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こいずみ(プロフ) - 青龍 葵さん» コメントありがとうございます!返事が大変遅くなりましてすみません、、!!久しぶりに更新しました。またお楽しみいただけると幸いです!! (2021年10月21日 23時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - 更新を楽しみにしてます。 (2021年5月3日 5時) (レス) id: e10675e39d (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - hiroさん» ありがとうございます!! (2020年8月18日 11時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
hiro - とても面白かったです!更新楽しみにしています!頑張ってください! (2020年8月14日 1時) (レス) id: ed14337de3 (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - 豫さん» 果たしてお家デート(?)なのでしょうか!!笑 きゅんきゅんしていただけて嬉しいです〜!! (2020年8月8日 1時) (レス) id: 64da7f082c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こいずみ | 作成日時:2020年7月31日 16時