歪んだ世界であなたとわたしと。

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明智吾郎 / 前

「 ふふ、今日はやけに甘えたさんだね。」

仕事の時と二人でいるときの彼の空気の違いは目に見えてわかる。特にそう、彼の声。彼はいつも柔らかい声でAのことを包み込んでくれる。お互い忙しくてなかなか会えない日々が続くが、そういう彼の姿がAを安心させてくれる。彼とハグができたことに満足した様子のAは抱きしめる力を緩め、明智から離れようとする。だが、その腕を明智が掴んで離さなかった。「吾郎？」彼の様子を不思議に思っていると、あっという間に彼の胸に抱きしめられてしまう。「僕にこんな存在ができるなんて、ね。」明智は抱きしめる力を強めた。彼のその言葉の裏には何か隠れているような気がしてならない。だけど今はそのことを気にするよりも、この幸せな時間を少しでも長く堪能していたい。Aはそう思った。

明智吾郎 / 後

「 …後ろからじゃなくてさ。」

前から抱きしめなよ。と言わんばかりの力で彼の胸へと引き寄せられる。最初に抱きついたのはAだが、まさか彼がそんな行動をするとは思わず、いつもよりもドキドキしてしまう。その様子を察したのか、そっぽを向いて唇を尖らせながら「たまには、いいでしょ」と言う明智。照れ隠し故のその行動にAは幸せな気持ちになる。彼はいつも言葉や行動で愛情表現をしない。だからこそ、彼が照れながらもしてくれる行動が大きな意味を持つのだ。「もう少しだけ、ぎゅってして…」この幸せな時間がいつまでも続きますように。その願いを胸に、Aは目を瞑った。


◇◇◇

お待たせしました…！ハグという定番のシチュエーションをこのリクエストを機に書くことができてすごく楽しかったです。皆さんも薄々お気付きかもしれませんが、私は恋人同士の『初心』な反応が大好物でして。自然とそんな風に小説も書いてしまいます…怪盗男子の初々しい反応を楽しんでいただけると幸いです！ありがとうございました！

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ボードにてリクエストをいただいたものの進捗などを呟いたりしております。気になった方は是非そちらもご覧下さい。

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