歪んだ世界であなたとわたしと。

ペルソナ男子の恋を自覚した瞬間 ページ15

雨宮蓮

「 あ…いや、ごめん。なんでも…ない。」

時間が止まったような感覚だった。ゆっくりと時が進み始めると、自分の目に映る彼女の姿がキラキラと輝いて見えた。沢山の人と協力関係になってきて、沢山の素敵な人と出会ってきた。だがこんなのは初めてでどうすればいいかが分からない。気を抜けば、自分の手が彼女に触れようとする。特別な引力をAが持っているのかと疑ってしまうくらい、不思議な力で蓮は彼女に惹かれていた。ああ、そうか。これが恋か。胸の中でじんわり広がる暖かな熱を心地よく感じた。さて、怪盗団のリーダーたるもの。好きな女性の心くらい奪ってみせないとな。蓮は大胆不敵に笑って見せた。

坂本竜司

「 まっ、待て待て！今こっち見んな！！」

恋を自覚した途端に、胸が爆発しそうなくらい激しく脈打ち始めた。あまりにも久しぶりの感情に竜司は戸惑いまくっている。チラッと彼女の方を見ると、そこには心配の表情が浮かんでいて。それすらも世界一可愛らしく見えてしまう。「うわ、やべーじゃん。」と竜司はポツリと呟いた。思っていた以上にこの感情は進んでしまっていたようだ。後戻りしようにもできない辺りまで。まあ、後戻りする気なんてさらさらないが。さあ、どうしようか。取り敢えず、友達から昇格するところから始めねーとな。と竜司はくすっと笑った。

喜多川祐介

「 ああ…そういうことか。」

少し前から自分の目が彼女ばかりを映していた。何故だろうかと考えあぐねていたが、今わかった。これが恋なのだ。愛おしいという感情なのだ。彼女が笑えば俺も自然と笑顔になるし、彼女が悲しめば俺も悲しい。Aの一挙一動に振り回されてしまうような自分が、恋をしていた自分だったのだ。そう気付くと、愛おしさが滝のように溢れだしてくる。俺の愛する彼女の笑顔を俺自身が生み出したい。と、祐介は密かにその欲望を抱き始めていた。一度決めたら彼は止まらない。Aが徹底的にアプローチをしてくる祐介に恋に落ちるのは時間の問題だ。

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