歪んだ世界であなたとわたしと。

好きだよ、と言ってみた ページ2

雨宮蓮

「 俺も好き。」

ルブランでまったりコーヒーを飲んでいた時、Aがふと、蓮の方を見ながらそう言ってきた。彼女の表情の可愛らしさに、蓮は思わず顔をほころばせる。魔性の男の笑顔の効果は絶大。Aは恥ずかしくて顔を逸らすが、彼からは逃げられない。耳元で「可愛い」と言われれば、顔を真っ赤にして涙目になってしまう。

坂本竜司

「 いきなりなんだよ…だぁっ！わかってる！俺だって好きだよ！！」

竜司の家でお家デート。彼がテレビゲームで遊んでいた時、暇を持て余したAは彼の背中に頭を乗せながら呟くように「好きだよ」と言う。突然のことで彼は手元を狂わせ、ゲームオーバーになってしまう。「なんだよ…」とジトーっとした目で彼女を見ると、うるうるした表情でこちらを見ていることに気がつく。その顔にはかなわなくて竜司も彼女に愛を叫んだ。

喜多川祐介

「 こんな絵を描くつもりはなかった… 」

彼が絵を描いている時は話しかけても返事が返ってこない。彼の絵に対する熱意は知っているが、それでも少し退屈だった。「好きだよ」と呟いてみても祐介は手を止めない。待つしかないか、と思いスマホを触り始めて数分後。祐介がくるっと振り返ってこちらを向いて言った。キャンバスにはAの似顔絵が描かれており、その周りにはハートが散りばめられていた。「俺にこんな絵を描かせて…どうしてくれるんだ？」端正で、悪戯な顔を近付けられてAは顔を赤らめた。

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