第四百二十話 正義の証 ページ9
ワンフォーオール、オールフォージャスティス。
仲間と心を一つにして撃ち抜け。それが、
「 正義の証… 」
彼は、心は子供のまま、大きくなってしまったのだろう。今でも苦しい想いをした子供の頃の記憶が彼を縛っている。彼に長年付き纏ってきたそれから解放してあげることなんて、私にはきっとできない。だから、せめて、
「 撃ち抜く。」
過去のあなたを救えなくても、今のあなたを救いたい。
私はスコープを構え、彼の仮面を撃ち抜いた。ペルソナを顕現させる為の仮面を破壊され、力を失った彼は膝をつく。
「 くそっ…!」
「 こいつの『暴走させる力』…てっきり、ナビみたいな特別に拾った代物かと思ったが、自前のペルソナの力らしいな。」
「 あんな、人を操ったり狂わせたりする力を、自分自身の心から生み出してたなんて… 」
「 殺すんだ…殺して、やる…!」
「 もうやめて。相手が違うでしょ!同じヤツを憎んでるのに、なんで戦うの!?」
「 私たちの首なんか取ったって、貴方は幸せにならない。」
「 だが、俺は…!」
なんで彼はこんなにも苦しまなくてはいけないの。
彼の罪は確かに重い。それは消えることのない事実。でも、彼が精神暴走や廃人化を起こすようになった原因は、全部獅童だよ。彼の人生は、全部獅童に支配されてきたんだよ。
何でその獅童はのうのうと報いを受けることなく生きていて、何で彼だけが苦しまなきゃいけないの。
いくらなんでも不平等すぎるよ。
神様がいるって言うんだったらさ。ねえ、教えてよ。
「 獅童がどう言うかじゃねえ!オメェはオメェだ。もうわかってんだろ?」
「 わたしな…たまに、考えるんだよ。オマエらが仕掛けた、メジエドのこと。あれ、サイテーの罠だったけどな。あれが無きゃ、今のわたし、たぶん無かった。えーっと、要するに、どっからやり直したって、いいんだ!」
「 オマエ、本当はこいつらのこと、気に入ってるだろ。戦う前に言ってたこと、あれ本心だろ。」
図星というように彼はモルガナを睨んだ。
「 ホントの気持ちに従えよ。嫌われたって、望まれなくたって、そんなの… 」
違うの、そうじゃないの、モナ。彼はずっと、それを求め続けてきた。人を殺してまで、彼が求めていたのは復讐の完遂じゃない。
「 黙れ黙れ黙れッ!!」
『愛』だ。彼は、愛を求めて生きていたのだ。
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すみれ(プロフ) - をしすさん» ありがとうございます!素敵と言って貰えるような作品に少しでもなっていたことを心から嬉しく思います。また描いていただいたイラストの素晴らしさを共有できて良かったです..!これからの展開も楽しんでいただけるように頑張りますので、楽しみにお待ちください♡ (11月4日 7時) (レス) @page50 id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - (文字数に収まらなかったのでここで失礼します…長文失礼しました) (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - やっぱり好き…。すみれさんの書くお話はどれも素敵すぎて読み終えた時に不思議な高揚感があります!そんな時にむぎさん、めもりさん、まりりさんの激カワイラスト達を見たらいてもたってもいられずコメントさせていただきました!これからも応援しています。 (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます🥹久々のコメントがとても身に染みます…!オリジナルの部分を今回はかなり挟んだので、皆さんにどう思われるか少し不安でしたが、そう言っていただけてすごく嬉しいです。この先の展開も楽しんでいただけるように頑張ります! (9月11日 7時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前からこの作品が大好きです!話の構成がとても上手で、特に『運命を変えろ』のお話はワクワクしっぱなしでした…!!獅童戦やその先の展開がすごく楽しみです。作者様のペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しています! (9月11日 7時) (レス) id: be2598a382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみれ | 作成日時:2023年8月19日 11時