第四百五十六話 自分は何者か ページ49
「 …覚えてる、ここ。」
「 え…？」
覚えているって、この牢獄のことだろうか。モナが求めていた答えがある場所。それは恐らくメメントスの最下層だ。そこに近づいていることで彼の中で何かが思い出され始めているらしい。
「 ワガハイは…ここのニンゲンたちを見て、自分の姿だけ、何故か違うことに気がついて…そうだ、だから人間に戻りたいって思った！」
「 じゃあメメントスをなくせば姿が戻ると漠然とわかっていたのは、そのせい…？」
「 すまない。所々まだ抜けてる…でも、手当り次第にパレスやらを探し始めて、次の記憶は、もうあのクソったれカモシダのパレスだ。」
モナは自分の中の記憶を探している。
彼はずっと自分が何者であるかを知りたがっていた。今まではそんな彼の力になることはあまりできていなかったが、目的地が決まった今なら、最下層への道を切り開き、彼の記憶を取り戻す手助けができる。
「 何をしている。」
「 また出た！この看守、しつこい！」
「 くそっ…油断しちまった。」
敵に囲まれてしまう私たちだったが、相手の隙をついて逃走することに成功した。シャドウは手当り次第倒して行きたいところだが、補給をしにくいメメントスでは無駄な体力消耗は避けるべきだろう、とのジョーカーの懸命な判断だった。
「 モナ、行こう。今日で全部思い出しちゃおう。」
「 …ああ！行くぞ、オマエら！」
◇◇◇
「 また牢獄かよーっ！！」
進んだ先にも同じような光景が広がっており、落胆した様子のスカルがそう叫んだ。だがノワールはいち早く今までとの違いに気がついたようだった。
「 …あの牢屋だけ、他と違わない？」
彼女の目線の先にあったのは、他とは比べ物にならないほどに厳重な柵で囲まれている扉だった。シドウから聞いた話を思い出した私たちは同じ考えに至る。
「 まさか…ここが例の『開かずの独房』？」
「 最も罪深い危険囚が入っているらしいが… 」
「 何だか…懐かしい匂いがする… 」
「 匂い？」
モナが匂いというとオタカラを彷彿とさせてしまう。
「 …間違いない。」
もしかしたらモナは、同じようなものをこの中から感じているのかもしれない。
「 ここだ。ワガハイはこの中で生まれた。」
私はそう思った。
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すみれ(プロフ) - をしすさん» ありがとうございます！素敵と言って貰えるような作品に少しでもなっていたことを心から嬉しく思います。また描いていただいたイラストの素晴らしさを共有できて良かったです..！これからの展開も楽しんでいただけるように頑張りますので、楽しみにお待ちください♡ (11月4日 7時) (
レス) @page50 id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - (文字数に収まらなかったのでここで失礼します…長文失礼しました) (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - やっぱり好き…。すみれさんの書くお話はどれも素敵すぎて読み終えた時に不思議な高揚感があります！そんな時にむぎさん、めもりさん、まりりさんの激カワイラスト達を見たらいてもたってもいられずコメントさせていただきました！これからも応援しています。 (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます🥹久々のコメントがとても身に染みます…！オリジナルの部分を今回はかなり挟んだので、皆さんにどう思われるか少し不安でしたが、そう言っていただけてすごく嬉しいです。この先の展開も楽しんでいただけるように頑張ります！ (9月11日 7時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前からこの作品が大好きです！話の構成がとても上手で、特に『運命を変えろ』のお話はワクワクしっぱなしでした…！！獅童戦やその先の展開がすごく楽しみです。作者様のペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しています！ (9月11日 7時) (レス) id: be2598a382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2023年8月19日 11時
