第四百五十二話 自由と安心 ページ45
私たちに共通の疑問が浮かび上がった。
「 誰が捕まってんだ?」
「 誰っていうか、誰かのシャドウなんだと思うけど… 」
メメントスは大衆のパレスであるはずなのに、なんでその大衆が囚われているのだろう。その矛盾に違和感を感じていた。
檻へと近付くと、中にいるシャドウが私たちに話しかけてくる。
「 お前たちも、そんな所にいないで入れよ。ここは安心だぜ?」
「 勝手に開けたりしないでよ?ここを出てく気なんて、無いんだから…!」
彼らの話し方は決まって惚けた感じだ。気力を全て抜かれてしまったかのような、そんな。
「 ここに居るのが、安心?何を言ってる、牢屋に入れられてるんだぞ?」
「 カモシダの城を思い出すな。まるで、あそこにいた『奴 隷』だ。」
「 そうとも…結局ここが一番いい。ここの奥深くには、望みを叶えるシステムがある。」
「 望みを叶えるシステム…?」
それがオタカラだとでも言うのだろうか。
「 牢の外にいるから、そんな悩んだり探したりするハメになんだよ。生きるには、知らなくていい事だってあるんだ。」
「 その通りじゃな。システムの話、それに『開かずの独房』の話…噂じゃ、真に危険な大罪人が入っとるらしいが、誰がそんなもんに自分から触れるものか。さあ、そんなところで立ち話もなんじゃ。中に入ってきたらどうじゃ?」
彼らは何かを考えることを放棄している。彼らは確かに生きているはずなのに、私の目には死んでいるように見える。思考することを諦めた人間はこうも、虚ろになってしまうのか。
私は彼らから目を逸らさなかった。
「 ん?お前ら、なぜ出歩いている?拘 束具はどうした?」
囚人たちに注目して、周りが見えていなかった。監視兵が私たちの姿を見つけてしまったようだ。
「 ヤベッ…!」
「 拘 束具の未着用は認められていない。異分子は…排除する!」
シャドウが襲いかかってきた。私たちはすかさず攻撃態勢に入る。過去の戦闘データから、相手は疾風属性が弱点であると判断した。
「 エアリエル!」
私はモナの魔法攻撃力を上げ、彼に次の攻撃を任せた。
「 メリクリウス!!」
モナの放ったマハガルダインが敵に膝をつかせた。総攻撃チャンスを私たちは見逃さない。敵の無防備な状態に致命的なダメージを食らわせる。
「 いっちょ上がりだ!」
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すみれ(プロフ) - をしすさん» ありがとうございます!素敵と言って貰えるような作品に少しでもなっていたことを心から嬉しく思います。また描いていただいたイラストの素晴らしさを共有できて良かったです..!これからの展開も楽しんでいただけるように頑張りますので、楽しみにお待ちください♡ (11月4日 7時) (レス) @page50 id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - (文字数に収まらなかったのでここで失礼します…長文失礼しました) (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - やっぱり好き…。すみれさんの書くお話はどれも素敵すぎて読み終えた時に不思議な高揚感があります!そんな時にむぎさん、めもりさん、まりりさんの激カワイラスト達を見たらいてもたってもいられずコメントさせていただきました!これからも応援しています。 (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます🥹久々のコメントがとても身に染みます…!オリジナルの部分を今回はかなり挟んだので、皆さんにどう思われるか少し不安でしたが、そう言っていただけてすごく嬉しいです。この先の展開も楽しんでいただけるように頑張ります! (9月11日 7時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前からこの作品が大好きです!話の構成がとても上手で、特に『運命を変えろ』のお話はワクワクしっぱなしでした…!!獅童戦やその先の展開がすごく楽しみです。作者様のペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しています! (9月11日 7時) (レス) id: be2598a382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみれ | 作成日時:2023年8月19日 11時