第四百五十一話 牢獄 ページ44
だがそこには私たちが予想もしなかった光景が待ち構えていた。
「 んだよこりゃあ… 」
「 なんか、デカい化石みたいな…コレがオタカラ。」
周囲を見回すと、メメントスを走り回っていた列車の姿が目に入る。現実世界で電車に乗った人々が目的地に着いた時と同じように、シャドウも動き出していた。彼らは壁の向こうへと進んでいる。
「 この壁の向こうにも、まだ…? 」
「 …いいえ、これは壁じゃなくて巨大な『扉』じゃない…?」
「 とびらぁ?んなもんどうやって開けりゃ… 」
まるで自動ドアのように私たちを認識してその扉は開く。
「 難なく開くか…やはりこの先が、イセカイナビの示していた『最深部』ってことなんだろう。」
「 待った、この扉…開ける仕組みが、こっち側にしか… 」
「 どういう意味?」
「 分厚い扉の中身っていうか、構造が、ちょっとだけ『見えた』んだ。この扉、開けるための仕組みが『こっち側』にしかない。これじゃまるで… 」
中に入った人々を、閉じ込める扉。それが本当ならば、列車から降りてそこに向かう人々は、自ら閉じ込められに行っているということになる。
得体の知れない不気味さを肌に感じた。
「 入ってみりゃわかることだぜ。行くぞ。」
◇◇◇
「 何だここ… 」
「 気味ワルすぎる… 」
メメントスに広がっていた管の集合体がそこにはあった。私たちがいるところの、さらに下へと繋がっているようだった。恐らく、そこには全ての源が。
「 て言うか…何なのこの景色…?どういう歪み…?みんなは、この世界を何だと思ってるの…!?」
「 …あんまり良いものではない、というのは確かだよね。」
「 落ち着け。オタカラの気配は確かにある。感じるんだ…ここよりもっと深い所から、とてつもない気配をな… 」
「 あんまり答えを知りたくないわね…でも、覚悟を決めましょう。最下層へ進みましょう。」
オタカラの元へと向かうために道に沿って進むが、私たちはそこでとある光景を目撃した。大量のシャドウが扉の奥へと進むために屯っている光景だった。彼らの真の目的地はその扉の先にあるらしい。
私たちは最下層を目指すために、別の入口を探して進み、表のシャドウが進みたがっていた場所へと辿り着いた。
「 ん!?なんだここ!」
鉄球の繋がった鎖を足につけ、虚ろな表情でその場に屯っている。まるで牢獄だ。
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すみれ(プロフ) - をしすさん» ありがとうございます!素敵と言って貰えるような作品に少しでもなっていたことを心から嬉しく思います。また描いていただいたイラストの素晴らしさを共有できて良かったです..!これからの展開も楽しんでいただけるように頑張りますので、楽しみにお待ちください♡ (11月4日 7時) (レス) @page50 id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - (文字数に収まらなかったのでここで失礼します…長文失礼しました) (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - やっぱり好き…。すみれさんの書くお話はどれも素敵すぎて読み終えた時に不思議な高揚感があります!そんな時にむぎさん、めもりさん、まりりさんの激カワイラスト達を見たらいてもたってもいられずコメントさせていただきました!これからも応援しています。 (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます🥹久々のコメントがとても身に染みます…!オリジナルの部分を今回はかなり挟んだので、皆さんにどう思われるか少し不安でしたが、そう言っていただけてすごく嬉しいです。この先の展開も楽しんでいただけるように頑張ります! (9月11日 7時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前からこの作品が大好きです!話の構成がとても上手で、特に『運命を変えろ』のお話はワクワクしっぱなしでした…!!獅童戦やその先の展開がすごく楽しみです。作者様のペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しています! (9月11日 7時) (レス) id: be2598a382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみれ | 作成日時:2023年8月19日 11時