第四百五十話 自分本位 ページ43
渋谷のホームから異世界に侵入する。赤黒い景色が私たちを包み込み、私たちはホームへと足を進める。いち早く何かに気が付いたフォックスが「ナビを見てみろ」と全員に声をかけた。
「 これって…!」
私はジョーカーのスマホを覗き込み、そこに表示された文面を見て目を丸くさせた。そこには『メメントス最深部への扉が解放されました』と書かれてある。
メメントスの方も、私たちを呼んでいるようだ。
「 …本当に、行くんだよな?」
「 行くでしょ!」
「 んだよ今さら?」
「 いや…オマエらがブルっちまってたらどうしようかと思っただけだ!メメントス消滅させんだろ。ほらいくぞ、オマエら!」
モナはひと足先に改札を通り、先に進む。その様子をナビは「張り切っている。」と言っていたが、私は少し違和感を感じていた。他の仲間が彼の背中を追っている間も、私はその場に立ち止まって考え込んでいた。
「 リティも…?」
「 え?」
ノワールが神妙な面立ちをして話しかけてくる。
「 リティも、モナちゃんがどこか変だって思ってる?」
「 …うん。なんだかいつもと違うなって… 」
モナは前からメメントスにかなりこだわっていたイメージがある。それが何か関係しているのだろうか。
「 あ… 」
そういえば、モナはペルソナをどこで覚醒したのだろう。そんな疑問がふと頭に浮かんできた。というのも、今までその手の話をした事がなかったのだ。蓮や竜司と出会った頃には既に覚醒したということしか知らない。
もしかしたら彼も、私と同じようにメメントスで覚醒を?だから今まで気にしていたとか?
そんな自分本位な想像ばかりしてしまう。
「 リティ?」
「 あっ、ごめんね。ちょっと考え事。…モナのこと、いつもより少し気にして見てよっか。」
「 そうね。…うん、そうしましょう。」
話を終えた私たちは少し遅れてみんなが乗り込んでいるモナカーに合流した。
◇◇◇
閉ざされていた扉が開く。
「 な…なぁ?こいつが、メメントスの『最深部の扉』って事で良いんだよな?」
「 その筈よ。どうかしたの?」
「 いや、見た目とか、今までのと一緒だし…開いちまえば、呆気ねえなって思ってよ。こりゃちょっと、力み過ぎだったか?」
「 予想外の事態がないのは良いことだ。気にせず進もう。」
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すみれ(プロフ) - をしすさん» ありがとうございます!素敵と言って貰えるような作品に少しでもなっていたことを心から嬉しく思います。また描いていただいたイラストの素晴らしさを共有できて良かったです..!これからの展開も楽しんでいただけるように頑張りますので、楽しみにお待ちください♡ (11月4日 7時) (レス) @page50 id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - (文字数に収まらなかったのでここで失礼します…長文失礼しました) (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - やっぱり好き…。すみれさんの書くお話はどれも素敵すぎて読み終えた時に不思議な高揚感があります!そんな時にむぎさん、めもりさん、まりりさんの激カワイラスト達を見たらいてもたってもいられずコメントさせていただきました!これからも応援しています。 (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます🥹久々のコメントがとても身に染みます…!オリジナルの部分を今回はかなり挟んだので、皆さんにどう思われるか少し不安でしたが、そう言っていただけてすごく嬉しいです。この先の展開も楽しんでいただけるように頑張ります! (9月11日 7時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前からこの作品が大好きです!話の構成がとても上手で、特に『運命を変えろ』のお話はワクワクしっぱなしでした…!!獅童戦やその先の展開がすごく楽しみです。作者様のペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しています! (9月11日 7時) (レス) id: be2598a382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみれ | 作成日時:2023年8月19日 11時