第四百四十九話 みんなと違う ページ42
「 いい手が見つかったの?」
モルガナの声が聞こえない冴さんだが、私たちの表情を見てそう感じとったらしい。各々が覚悟を持った表情でここに立っている。
「 成功するかどうかは、別だけどね。」
「 検事さんよ…どうやらこれが、俺たち最後の仕事になりそうだ。」
「 最後の仕事…?」
「 後の事を任せたい。」
私たちがメメントスを消滅させた、その後。大衆があるべき姿を取り戻したその時。彼女の力、正しい大人の力が必要になる。
「 私たちが役目を果たした後は、襟を正した『大人』に世の中をお預けします。それが、仕事を引き受ける条件です。」
「 『取り引き』ってわけ…なんて重い条件かしらね。でもいいわ、受けましょう。獅童正義は、必ず裁きの場に立たせてみせる。」
「 信じています… 」
獅童正義を無実で終わらせてはならない。
「 決まったようだな。」
「 リーダー、正真正銘、最後の作戦だよ。何か言ってよ。」
「 この国を頂戴する!」
彼が拳を握りしめて、自信満々な様子でそう言うものだから思わず笑ってしまった。前に一度聞いた事のある台詞だが、その言葉は今でこそ相応しいものだと思う。今度こそ、正真正銘だ。
「 時間がないんだろう。明日にでも決行だ。…期待してるぜ、オマエら。何があっても、やり遂げろよ。」
◇◇◇
私は家に帰り、ベッドに横になりながら明日のことについて考えていた。自分の手をぼんやりと眺めながら、私にとっての
ペルソナを覚醒したあの日のこと。お母様に反逆し、本当の自分であること、『秋瀬A』であることを決意したあの日のことを。
「 …… 」
あの日から怪盗団として過ごしてきて、ずっと不思議に思っていたことがあった。それは何故、私だけがメメントスで覚醒したのかについてだ。特別な理由があるとでもいうのだろうか。私のスマホだけイセカイナビが入っていないことも気にかかる。
私は、どこかみんなと違う。
そんな孤独感を、ひっそりと感じ続けていた。
「 明日… 」
メメントスを消滅させる。その前に。この能力が使えなくなる前に、私が何故みんなと違うのか。その理由を知ることができれば、と僅かな希望を抱いた。
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すみれ(プロフ) - をしすさん» ありがとうございます!素敵と言って貰えるような作品に少しでもなっていたことを心から嬉しく思います。また描いていただいたイラストの素晴らしさを共有できて良かったです..!これからの展開も楽しんでいただけるように頑張りますので、楽しみにお待ちください♡ (11月4日 7時) (レス) @page50 id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - (文字数に収まらなかったのでここで失礼します…長文失礼しました) (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - やっぱり好き…。すみれさんの書くお話はどれも素敵すぎて読み終えた時に不思議な高揚感があります!そんな時にむぎさん、めもりさん、まりりさんの激カワイラスト達を見たらいてもたってもいられずコメントさせていただきました!これからも応援しています。 (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます🥹久々のコメントがとても身に染みます…!オリジナルの部分を今回はかなり挟んだので、皆さんにどう思われるか少し不安でしたが、そう言っていただけてすごく嬉しいです。この先の展開も楽しんでいただけるように頑張ります! (9月11日 7時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前からこの作品が大好きです!話の構成がとても上手で、特に『運命を変えろ』のお話はワクワクしっぱなしでした…!!獅童戦やその先の展開がすごく楽しみです。作者様のペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しています! (9月11日 7時) (レス) id: be2598a382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみれ | 作成日時:2023年8月19日 11時