第四百四十三話 新島家長女 ページ35
「 獅童は有罪なのよね？お姉ちゃん。」
「 今すぐ起訴するのは難しいわ。でも余罪の因果関係が立証できるまで、徹底的にやるから！きっと、若葉さんの研究結果が、日本を救うことになる。」
獅童の起こしてきた事件と異世界の繋がり。これを証明する方法は認知訶学の研究以外にない。私たちが証言するという方法も無きにしも非ずだろうが、それはかなり危険な道だ。最悪の場合、逮捕ということも有り得るだろう。冴さんもそんなことは望んでいなかった。
「 なあ、蓮の学校はどうなった？」
「 復学して大丈夫だと思うわ。確かに、彼の顔は関係者に割れてしまっている…けど、いきなり捕まえにくるような強硬な手段には出ないと思う。」
「 絶対、ですか？」
「 少なくとも、獅童の自白の混乱とｼﾞ殺報道の騒ぎが収まるまでは、ね。いずれ、彼と私がやり玉に挙げられる事態は避けられないでしょうけど… 」
「 死んだと見せかけた件か。元々警察がしっかりしてりゃ、んなことも起きなかったのによ。」
獅童という巨悪に屈していた、寧ろ手を貸していたまである警察にもこの事件の責任はある。にも関わらず、そんな彼らが蓮や冴さんに責任の追及をしようとするのは、納得できない。
やはりこの世界は理不尽で、歪んでいると感じる。
「 勿論、出来る限りのことはするつもりよ。今度は私が、貴方たちを守る。獅童の起訴は、その一歩ね。」
理不尽で身勝手な大人が多いのは事実だが、マスターや冴さんのように私たちを守ってくれる、頼れる大人がいるのも事実だ。彼らのような存在がいるからこそ、私たちが安心して生活を送ることができている。
本当に心強い存在だ。
「 …なあ、いつ乾杯するんだ？」
そういえば、マスターがグラスを持てと言ってから既に五分は経過している。常にお腹を空かせている祐介は限界を迎えたようだ。
「 そうだな、乾杯だ！えっと、本日は誠に… 」
「 カンパーイ！！」
乾杯と、それぞれがグラスをあげる。冴さんが笑顔で「乾杯」とグラスをあげると、彼女のポケットに入っているスマホが鳴った。通知を確認した彼女はグラスに入った飲み物をぐいっと飲み干し、鞄を持って私たちに背を向けた。
「 私、行くわ。獅童が病院に搬送されたって。ああ、そうだ。打ち上げもいいけど程々にね。せっかく彼も戻ったんだし、学業にも本腰、入れないと。」
流石、新島家の長女だ。
一気に現実へ引き戻された気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみれ(プロフ) - をしすさん» ありがとうございます！素敵と言って貰えるような作品に少しでもなっていたことを心から嬉しく思います。また描いていただいたイラストの素晴らしさを共有できて良かったです..！これからの展開も楽しんでいただけるように頑張りますので、楽しみにお待ちください♡ (11月4日 7時) (
レス) @page50 id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - (文字数に収まらなかったのでここで失礼します…長文失礼しました) (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - やっぱり好き…。すみれさんの書くお話はどれも素敵すぎて読み終えた時に不思議な高揚感があります！そんな時にむぎさん、めもりさん、まりりさんの激カワイラスト達を見たらいてもたってもいられずコメントさせていただきました！これからも応援しています。 (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます🥹久々のコメントがとても身に染みます…！オリジナルの部分を今回はかなり挟んだので、皆さんにどう思われるか少し不安でしたが、そう言っていただけてすごく嬉しいです。この先の展開も楽しんでいただけるように頑張ります！ (9月11日 7時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前からこの作品が大好きです！話の構成がとても上手で、特に『運命を変えろ』のお話はワクワクしっぱなしでした…！！獅童戦やその先の展開がすごく楽しみです。作者様のペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しています！ (9月11日 7時) (レス) id: be2598a382 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すみれ | 作成日時：2023年8月19日 11時
