第四百十五話 お抱え彫り師 ページ4
「 斬新じゃ!気に入った!」
駄目だと思われたが、意外にも好感触だった。喜んだ様子で彼はまじまじと絵を見ている。
私の美術の感性は彼と同じなのか、と思うと少し複雑な感じがしたが、気に入っているようだからまあいいかと思うことにした。
「 では紹介状を。」
「 条件がある。小僧、ワシのお抱え彫り師になれや。」
「 まさかのスカウト!?」
「 断る。」
「 なら紹介状は渡せん。」
フォックスの判断は正しいと思う。彼はもう嫌と言うほど知っているはずだ。自分以外の誰かに絵の道を決められることの苦しさを。
「 俺の絵の道は、俺自身で決める。もう誰の世話にもならん。分かったら、紹介状を出せ。出さぬのなら奪い取るぞ。鳳凰など到底似合わぬ、土鳩からな。」
その語彙は怪盗団の予告状の文面を担当しているだけあって、敵を煽る言葉にもどこか品性を感じた。土鳩、なんて言われたら奴も黙っているはずがない。
「 おんどりゃあ!処理じゃあ!
腹ぁ割いて腸、引きずり出したらぁ!」
「 結局やんのかよ!」
トラブル処理役は、鬼のような形相のシャドウに変化した。その攻撃は先ほど戦った奴の手下と比べものにならないほど力強い。しかもナビによると弱点がないらしい。
「 クリティカル率の高い攻撃をしろ!」
「 了解した!ゾロッ!」
「 ミラディ!」
モナのミラクルパンチ、そしてノワールのワンショットキルが、敵の体勢を崩した。クリティカル攻撃が成功したようだ。この隙に、火力強めの攻撃を仕掛ける。
エアリエルのうたで効果を上げ、今か今かと待ち続けていた。
「 自由を掴め、エアリエル!」
メギドラオン。
◇◇◇
「 ハハ、強いのう小僧ども。気に入った!その気骨、見上げたもんじゃ。よかろう、ワシのお墨付きをくれてやる。船内で暴れ回ったこと、本来なら『処理』の対象じゃが…まあ、必要なかろう。」
「 見逃すということか?」
「 お前らみたいな兵に入り込まれるとは、この船、先は長くあるまいて。退散じゃ。『船長』は良い雇い主じゃったが、心中は御免こうむるわい。達者でな、若いの。」
所詮は金の付き合いだということなのだろう。政治家は裏の人々とは親しい関係を持ちたがらない。現実の獅童の認知の影響のために、彼らはすんなりと身を引いたのだと予想される。
「 やっと五つ揃ったー!えっと、これで『本会議場』に入るんだっけ?」
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すみれ(プロフ) - をしすさん» ありがとうございます!素敵と言って貰えるような作品に少しでもなっていたことを心から嬉しく思います。また描いていただいたイラストの素晴らしさを共有できて良かったです..!これからの展開も楽しんでいただけるように頑張りますので、楽しみにお待ちください♡ (11月4日 7時) (レス) @page50 id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - (文字数に収まらなかったのでここで失礼します…長文失礼しました) (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - やっぱり好き…。すみれさんの書くお話はどれも素敵すぎて読み終えた時に不思議な高揚感があります!そんな時にむぎさん、めもりさん、まりりさんの激カワイラスト達を見たらいてもたってもいられずコメントさせていただきました!これからも応援しています。 (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます🥹久々のコメントがとても身に染みます…!オリジナルの部分を今回はかなり挟んだので、皆さんにどう思われるか少し不安でしたが、そう言っていただけてすごく嬉しいです。この先の展開も楽しんでいただけるように頑張ります! (9月11日 7時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前からこの作品が大好きです!話の構成がとても上手で、特に『運命を変えろ』のお話はワクワクしっぱなしでした…!!獅童戦やその先の展開がすごく楽しみです。作者様のペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しています! (9月11日 7時) (レス) id: be2598a382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみれ | 作成日時:2023年8月19日 11時