第四百三十三話 フタバ砲 ページ24
「 いよいよだな!ってことで、予告状の出し方だけど… 」
選挙前日である十二月十七日。私の足の調子は、本調子ではないが段々と回復しているように感じていた。万全ではないにしても、今の私なら獅童と戦える。
「 議事堂に送っても意味ないな。」
「 各メディアに送ったところで、どういう扱いをされるかわからないし。裏で警察に回されたら最悪よ。 」
「 みんなの目に留まる、インパクトがある予告状の出し方ってないのかな。」
小さな勢力では揉み消されて終わる。大衆の目に届き、獅童の心を大きく揺さぶるようなやり方でないと意味が無い。私たちが考えあぐねていると、彼女が「くふふ」と笑いだした。
「 双葉ちゃん…?」
「 フタバ砲完成だ。」
「 あ?」
「 準備済みだ。見ろ。これを、こうすると… 」
双葉がノートパソコンの画面を私たちに見せた。そこに示されていた情報を見て、私たちは驚愕する。
「 いつの間に!?」
「 こんなの作ってんなら、先に言え!」
「 敵を欺くにはまず味方から。」
彼女の技術は流石としか言いようがない。
「 なかなかのセンスだな。」
「 イケてる!」
「 これなら…!」
大衆にも、獅童にも届く。
「 そしてだ。さらに印象づける為に、Aの曲を使う。もうできてるのわかってるぞー?」
「 あはは、バレちゃってた。」
今まで私が作った曲は、怪盗お願いチャンネルへの興味を惹くための演出として使用している。怪盗団のお洒落で、尚且つ格好いい雰囲気をサイトを見に来た人々に伝え、少しでも知名度をあげることを目標としてきた。
その集大成となる一曲。
自信はある。この曲は私だけの力で出来たものでは無い。みんなの想いを綴ったことによって完成したものだ。
「 いいよ。私たちの音を、日本に響かせよう。」
◇◇◇
夜の渋谷はいつもと同じように騒がしい。人々は口々に、怪盗団に関する話題をあげ、大きなモニターでのニュースも怪盗団の話題を取り上げていた。
いつもの光景。
それを揺るがしたのは、力強いベースの音。
「 何、この音…!」
「 なんだかわからないけど、格好いい!」
始まりはベースの低音、次にドラムが曲に勢いをつける。何が起こるのだろうという高揚感が人々を襲っていた。いい兆しだ、と私は笑う。聞いている人々の感情を昂らせるのが、作曲家の仕事だ。
興奮していいよ。
さらなる興奮を私たちが与えてあげる。
今宵、日本を奪いさるのは私たち、怪盗団だ。
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すみれ(プロフ) - をしすさん» ありがとうございます!素敵と言って貰えるような作品に少しでもなっていたことを心から嬉しく思います。また描いていただいたイラストの素晴らしさを共有できて良かったです..!これからの展開も楽しんでいただけるように頑張りますので、楽しみにお待ちください♡ (11月4日 7時) (レス) @page50 id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - (文字数に収まらなかったのでここで失礼します…長文失礼しました) (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - やっぱり好き…。すみれさんの書くお話はどれも素敵すぎて読み終えた時に不思議な高揚感があります!そんな時にむぎさん、めもりさん、まりりさんの激カワイラスト達を見たらいてもたってもいられずコメントさせていただきました!これからも応援しています。 (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます🥹久々のコメントがとても身に染みます…!オリジナルの部分を今回はかなり挟んだので、皆さんにどう思われるか少し不安でしたが、そう言っていただけてすごく嬉しいです。この先の展開も楽しんでいただけるように頑張ります! (9月11日 7時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前からこの作品が大好きです!話の構成がとても上手で、特に『運命を変えろ』のお話はワクワクしっぱなしでした…!!獅童戦やその先の展開がすごく楽しみです。作者様のペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しています! (9月11日 7時) (レス) id: be2598a382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみれ | 作成日時:2023年8月19日 11時