第四百三十二話 恋人コープMAX ページ22
「 …そっか。私は、助けられなかったんだね。」
あの壁を乗り越えても。私の力が、意志の力が足りなかったから、その意味もなかった。
私に運命を変えるなんてことは、出来なかった。
「 …助け、られなかった。」
帰ったら、一緒に獅童を改心させようって。多くの罪を背負う彼を支えようって。傍にいようって。そう思っていたのに。
「 A… 」
「 私、もう自分が嫌になっちゃったよ。なんの力もない。大切な人を助けることもできない。こういう時に泣くことしか出来ない、こんな私が…嫌い。」
嫌い。
嫌い。
大嫌いだ。
もう、いっその事。
私も彼と一緒に消えてしまいたい。
「 …獅童に大切なものを奪われたままで、Aは終わるのか。」
「 …っ。」
私を慰めるものではない言葉を、彼は淡々と言い放った。表面上は冷たさを感じるが、これは彼の優しさだった。私に、あの気持ちを思い出させるための。
「 悪を許さないんだろ。正義を貫くんだろ。」
「 …うん。」
世間に蔓延る悪。歪んだ欲望を持つ大人。
私は許さない。
それと同時に思い出した私の感情。
それは、
「 私、怒ってる。」
怒りだ。大切な人を奪われたことに対する、怒り。とても汚い感情だった。精神暴走の時のぐちゃぐちゃな感情に近いまである。だがこれは、私の中に、確かにあった。私はそれを否定しない。
汚い部分も含めて、私自身だ。
「 獅童を絶対に許さない。止まってなんかやらない。最後まで、自分のやるべきことをやりきる。」
「 …それでこそ、Aだ。」
思い出させてくれてありがとう。その意を込めて、私は彼に微笑んだ。そして目を瞑り、自分の心の声に耳をすました。
◇◇◇
これまで沢山の人と出会い、交流をしてきた。色々な意見に耳を傾け、理解しようとすることで、私の内側も変化した。私の中のもう一人の私。それはもう、エアリエルだけじゃない。
「 貴方の名前、今ならわかるよ。」
ずっと私の中に隠れていた貴方。もう出てきていいよ。貴方を受け入れる覚悟は出来たから。
「 キャリバン。」
私の新しい力になって。
恋人コープ MAX
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すみれ(プロフ) - をしすさん» ありがとうございます！素敵と言って貰えるような作品に少しでもなっていたことを心から嬉しく思います。また描いていただいたイラストの素晴らしさを共有できて良かったです..！これからの展開も楽しんでいただけるように頑張りますので、楽しみにお待ちください♡ (11月4日 7時) (
レス) @page50 id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - (文字数に収まらなかったのでここで失礼します…長文失礼しました) (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - やっぱり好き…。すみれさんの書くお話はどれも素敵すぎて読み終えた時に不思議な高揚感があります！そんな時にむぎさん、めもりさん、まりりさんの激カワイラスト達を見たらいてもたってもいられずコメントさせていただきました！これからも応援しています。 (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます🥹久々のコメントがとても身に染みます…！オリジナルの部分を今回はかなり挟んだので、皆さんにどう思われるか少し不安でしたが、そう言っていただけてすごく嬉しいです。この先の展開も楽しんでいただけるように頑張ります！ (9月11日 7時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前からこの作品が大好きです！話の構成がとても上手で、特に『運命を変えろ』のお話はワクワクしっぱなしでした…！！獅童戦やその先の展開がすごく楽しみです。作者様のペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しています！ (9月11日 7時) (レス) id: be2598a382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2023年8月19日 11時
