第四百二十五話 嘘じゃない ページ14
「 獅童『船長』の命令だ…敗者に用はないってさ。まあ、ちょっと予定が早まっただけだ。どのみち選挙が済んだら、始末する予定だったし。」
「 何っ…!?」
「 さんざん殺しを請け負ったくせに、自分だけは大丈夫と思ってたのか?まさか…頼られて、内心舞い上がってた訳じゃないよな?」
獅童は、彼をずっとそう認知していたと。大切な人をこうも貶されて、私の怒りは爆発しそうになる。極めつけに、奴が言った。
「 ああ、船長から伝言だ…『他人を廃人化させてきた、報いを受けろ』。」
「 …っ!どの口がっ!!」
吾郎は、奴に飛び出していきそうになる私の背中を優しく叩いた。「落ち着け」と言われた気がして、私は冷静になる。
「 クク、なるほどな。前から疑問だったんだ。もしもこのパレスで、俺が本気で暴れたら…どう防ぐ気なのかってな。お前がその係、同じ顔した人形に殺させるって訳だ。あの男らしい。」
「 そうとも、オレは人形さ。何だってする。けど、オレが人形なら…ほんとの人形は、お前だろ。」
認められたかったんだろ?
愛されたかったんだろ?
奴はさも、彼をよく理解したような口で言う。
ああ、腹が立つ。
腹が立つ。
ごめんね、吾郎。
ここまで言われて、我慢できるほど
私は強くない。
「 彼が人形ですって?とんだ勘違いだね。」
「 …ん?」
「 彼はもう認められてる、愛されてる。貴方のような、中身も頭も空っぽな人形なんかじゃないよ。それに、」
さっきから思っていた。
「 彼は貴方のような、そんな気持ち悪い顔しないから。」
「 よく喋る口だな…銃を突っ込んでやろうか?」
その瞬間、私たちの周辺に大量のシャドウが現れた。
「 しまった!アイツ、ひとりじゃない!シャドウが… 」
「 何なら、誰か身代わりを志願しろよ。少しはこいつの死が遠のくかも知れないぜ。誰かのため、がモットーなんだろ。」
本能のままに動きだそうとする私を、彼は引き止めた。私たちとの戦闘で疲弊しているはずなのに、痕が残りそうなくらいの強い力で私の腕を掴んでいる。
「 そうだ、最後のチャンスをやるよ。お前が奴らを撃て。」
「 ハハ、俺は本当に馬鹿だったよ。」
彼は怪盗団に、ジョーカーにその銃口を向ける。「駄目、撃っちゃ駄目」と私は泣きそうになりながら彼に懇願した。だが、そんな私を見て、彼は笑った。
「 あの日、Aに言った言葉は嘘じゃない。」
そう言って、彼は発砲した。
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すみれ(プロフ) - をしすさん» ありがとうございます!素敵と言って貰えるような作品に少しでもなっていたことを心から嬉しく思います。また描いていただいたイラストの素晴らしさを共有できて良かったです..!これからの展開も楽しんでいただけるように頑張りますので、楽しみにお待ちください♡ (11月4日 7時) (レス) @page50 id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - (文字数に収まらなかったのでここで失礼します…長文失礼しました) (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - やっぱり好き…。すみれさんの書くお話はどれも素敵すぎて読み終えた時に不思議な高揚感があります!そんな時にむぎさん、めもりさん、まりりさんの激カワイラスト達を見たらいてもたってもいられずコメントさせていただきました!これからも応援しています。 (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます🥹久々のコメントがとても身に染みます…!オリジナルの部分を今回はかなり挟んだので、皆さんにどう思われるか少し不安でしたが、そう言っていただけてすごく嬉しいです。この先の展開も楽しんでいただけるように頑張ります! (9月11日 7時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前からこの作品が大好きです!話の構成がとても上手で、特に『運命を変えろ』のお話はワクワクしっぱなしでした…!!獅童戦やその先の展開がすごく楽しみです。作者様のペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しています! (9月11日 7時) (レス) id: be2598a382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみれ | 作成日時:2023年8月19日 11時