第四百二十四話 自由を掴もう ページ13
ずっと、あなたに伝えたかった。
伝えていたつもりでも、あなたには伝わっていなかった言葉。もう一度、ううん、何回でも言うよ。
「 吾郎のことが好き。大好き。」
「 …君が好きになったのは、俺じゃ… 」
その言葉を紡ごうとする彼の口を、人差し指でそっと塞ぐ。
「 ううん、あなただよ。私が一番辛かった時、吾郎の言葉が私を救ってくれた。獅童からも、守っててくれたんだよね。」
「 …自分のためにしたことだ。」
「 そうだとしても、私に言ってくれた言葉が嘘だったとしても、私は吾郎に救われたよ。本当にありがとう。」
伝えたいことが沢山ある。
ひとつひとつ、ゆっくりと。私は彼に伝える。
「 私たちの出会いは、仕組まれたものだったけど…きっとどんな出会い方をしても、私は吾郎を好きになってた。だって、あなたはとっても素敵な人だもん。」
自分の意志を曲げずに貫くところ。負けず嫌いなところ。何でも完璧にできているように見えるけど、裏でしっかり努力しているところ。笑うとき、少し声が高くなるところ。ハイタッチが意外と力が強めなところ。どこか子供っぽいところ。利用のためとはいえ、私と一緒に居てくれたところ。
全部、とっても素敵なあなたの魅力。
「 も、もういいから…!」
彼は顔を赤くさせて、手をばたばたとさせる。
「 まだ言い足りないのに。」
「 …本当に、俺のことが好き、なんだな。」
彼の顔を見ながら、こくりと頷く。
「 私はどんなときも、あなたの味方。ずっと傍にいるよ。」
「 俺は、沢山の人を手にかけてきた。それでも… 」
「 それでも、一緒にいて欲しい。」
彼の罪を私が半分背負う、なんてことはできない。だけど、一緒に苦しんだり、罪を償うことくらいは許されるはずだ。
辛いときも、苦しいときも、悲しいときも。
あなたの傍で、あなたを支えたい。
「 ねえ、吾郎。一緒に行こう。」
「 …!」
「 一緒にケジメ、つけに行こう。」
まずは、獅童から解放されよう。
私たちと一緒に、自由を掴もう。
彼に手を伸ばした。
それを彼が掴もうとした、その時だった。
「 明智…!?」
「 もう一人だと!?まさか、こいつは…!」
獅童の認知上の明智吾郎が現れた。くく、とひと笑いしたあと、彼は私たちに、吾郎に拳銃を向けた。
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すみれ(プロフ) - をしすさん» ありがとうございます!素敵と言って貰えるような作品に少しでもなっていたことを心から嬉しく思います。また描いていただいたイラストの素晴らしさを共有できて良かったです..!これからの展開も楽しんでいただけるように頑張りますので、楽しみにお待ちください♡ (11月4日 7時) (レス) @page50 id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - (文字数に収まらなかったのでここで失礼します…長文失礼しました) (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - やっぱり好き…。すみれさんの書くお話はどれも素敵すぎて読み終えた時に不思議な高揚感があります!そんな時にむぎさん、めもりさん、まりりさんの激カワイラスト達を見たらいてもたってもいられずコメントさせていただきました!これからも応援しています。 (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます🥹久々のコメントがとても身に染みます…!オリジナルの部分を今回はかなり挟んだので、皆さんにどう思われるか少し不安でしたが、そう言っていただけてすごく嬉しいです。この先の展開も楽しんでいただけるように頑張ります! (9月11日 7時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前からこの作品が大好きです!話の構成がとても上手で、特に『運命を変えろ』のお話はワクワクしっぱなしでした…!!獅童戦やその先の展開がすごく楽しみです。作者様のペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しています! (9月11日 7時) (レス) id: be2598a382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみれ | 作成日時:2023年8月19日 11時