第四百二十三話 特別な存在 ページ12
「 十分すぎるくらい、特別だろーが。」
スカルのその言葉に、彼は顔を上げた。
「 悔しいけど、知恵も力も、私たちの誰よりも優れてる。貴方に勝てたのも、全員で挑んだから。私は、貴方の才能が羨ましかった。お姉ちゃんに信頼されてるのが、悔しかった。」
クイーン。
「 お父様のこと、許すつもりはないけれど、あなたのこと、分からない訳じゃない。奪っていった大人を見返したいっていう気持ち… 」
ノワール。
「 だが、いざ叶える力を得た時、お前は自分の為だけに使った。」
フォックス。
「 つーか一人で複数ペルソナとか、オマエ多分、ジョーカーと同じ才能もあったんじゃね?なのに人生ソロプレイだったから、目覚めた力は、自前の『嘘』と『恨み』の、たった二個だけ。
でも、それで十分って思ったんだろ…?
わかる、そこは、すっげえわかる。」
ナビ。
「 それが多分、ジョーカーにはあって、アンタにはなかったものだよ。」
パンサー。
それぞれが彼に対して、彼への思いを述べる。そこに彼への恨みも、憎しみも、なかった。どの言葉も、ただただ優しい。
だが、彼らはそれだけでは終わらなかった。
「 まー、お前が欲しがってる『特別』は、そーゆー能力的なもんだけじゃねーのは、流石の俺でもわかる。」
自分を認めて欲しい。
自分を望んで欲しい。
自分を愛して欲しい。
そして、僕を特別に想ってくれる誰かが欲しい。
「 …叶わない願いに過ぎない。」
こんな自分が、誰かに愛してもらえるなんて。
「 は?何言ってんの。あんたはとっくに、誰かの『特別』になってるよ。」
「 気付いていないとは言わせないぞ。」
「 …… 」
彼女は違う。彼女が過去に好きだと言ったのは、偶像の自分。本当の自分は、彼女を利用し、手酷く捨てた男だ。そんな相手を、愛するわけが、
明智は顔を上げ、彼女の顔を見た。
そして、目を丸くする。
あの日のように顔を真っ赤にした彼女がいた。でもあの日と違うのはその目に悲しみが浮かんでいたこと。
「 ほら、早く。」
「 行ってこーい。」
ノワールとナビが彼女の背中を押す。その勢いのまま、彼女は僕の方へと近付いてくる。
違う、勘違いするな。期待するな。
彼女が愛してるのは僕じゃ…!
「 吾郎…!」
僕はあの日のように抱きしめられた。
なんで君はこんな僕に、
そんな優しい顔を向けてくれるんだ。
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すみれ(プロフ) - をしすさん» ありがとうございます!素敵と言って貰えるような作品に少しでもなっていたことを心から嬉しく思います。また描いていただいたイラストの素晴らしさを共有できて良かったです..!これからの展開も楽しんでいただけるように頑張りますので、楽しみにお待ちください♡ (11月4日 7時) (レス) @page50 id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - (文字数に収まらなかったのでここで失礼します…長文失礼しました) (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
をしす - やっぱり好き…。すみれさんの書くお話はどれも素敵すぎて読み終えた時に不思議な高揚感があります!そんな時にむぎさん、めもりさん、まりりさんの激カワイラスト達を見たらいてもたってもいられずコメントさせていただきました!これからも応援しています。 (11月4日 4時) (レス) @page19 id: 79c0c3fdd7 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - もみじさん» ありがとうございます🥹久々のコメントがとても身に染みます…!オリジナルの部分を今回はかなり挟んだので、皆さんにどう思われるか少し不安でしたが、そう言っていただけてすごく嬉しいです。この先の展開も楽しんでいただけるように頑張ります! (9月11日 7時) (レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前からこの作品が大好きです!話の構成がとても上手で、特に『運命を変えろ』のお話はワクワクしっぱなしでした…!!獅童戦やその先の展開がすごく楽しみです。作者様のペースで更新頑張ってください。陰ながら応援しています! (9月11日 7時) (レス) id: be2598a382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみれ | 作成日時:2023年8月19日 11時