第五百十一話 また会えたね ページ7
「その姿…救済を欲する者ではないな？」
私たちが進む道を阻む者が現れる。右腕にカルテのようなものを抱え、その身は純白の白衣によって包まれている。研究者のようで、医者のようにも見えた。
「救済だと？」
「立ち去れ。お前たちは望まれざる客だ。主の研究、世界の救済の邪魔をするな。」
「シャドウの発言も主の思想のヒントだ。ずいぶんカルト的なことを言い出すんだね。悪いけど通してもらうよ。雑魚の相手してるヒマないんだ。」
「何故自ら痛みへ向かう…？」
痛み、その言葉に私の脳が酷く揺さぶられた。新年最初の夢で私が受け入れたくなかったもの。それが痛みであり。
「何故自ら苦しみに触れるのだ…」
苦しみだった。
「…もういいよ。話は、おしまい。」
シャドウが姿を変える瞬間を見計らって、私は腰に下げたバスタードソードに手をかける。ゆっくりとその重みを感じながら持ち上げ、剣先をシャドウへと向けた。
「こんなところで止まってる暇、ないもんね。」
本当はシャドウの言葉に心を揺さぶられる自分が嫌だったから。だがそんな気持ちは、嘘という名のベールで包み隠す。クロウに目を向けると、彼は「ああ」と返事をする。彼がシャドウを見下ろすその目はとても冷たかった。
「バラバラなのも面倒だ。情報支援は僕がやる。」
その時、突如もう一体のシャドウが地面から出現した。彼らはどちらも戦闘態勢に入っているらしい。その瞳から明確な殺意を感じる。
「雑魚がワラワラと」
だが、こちらの殺意も負けてない。
「いいだろう、血祭りだ！」
◇◇◇
「フン、久しぶりだ。血が騒ぐよ…本当にね。」
「明智さん…！？」
好戦的でやや狂気的。そんな彼の姿を見るのは初めてなかすみちゃんは困惑していた。
「さあ、片付けるぞ！」
「は、はいっ！」
慌てながらも彼女はレイピアを構える。シャドウへの物理攻撃をその身体の柔らかさを駆使しながら行う。動きの華麗さは怪盗団の他の面々と合わせて考えてみても一番だった。
「もう会えないかと思ってた。」
そう、私は自分自身に語りかける。また、会えたね。その思いを胸に、目に張り付いた仮面を剥いだ。青い炎が私の足元から燃え上がる。
「おかえり、エアリエル。キャリバン。」
さあ、一緒に戦おう。
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すみれ(プロフ) - すしをさん» いつも本当にありがとうございます🥹なんて素敵な自分ルールなのでしょう。すしをさんに早く見ていただけるように更新頑張りますね！いつもコメントに元気貰ってます。またいつでも優しいお言葉をお待ちしています🥰 (2月18日 21時) (
レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
すしを(プロフ) - 三学期だ〜！！すみれさんのお話は少し間を空けてから一気見するという自分ルールに縛られ(？)中々最後まで見られていませんでしたが、やはり素敵だ…。無理のない範囲での更新心よりお待ちしております (2月18日 1時) (レス) id: 83df5084ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2024年1月10日 17時
