第五百四十九話 選ぶ道は ページ45
例えばそう、怪盗団だ。
「私たちの存在はこの世界ではどうなっているのかな」
「前同様で世間を騒がせてはいたようだ。その内容も大部分が改変されているけどね」
「…そっか」
＿＿＿私たちの苦悩や決断は、丸喜先生が考える『幸せ』のためになかったことになっちゃうんだ。
そう思うと悔しさと共に怒りの感情が心に燻り始める。今なら彼がなぜ、こんなにも丸喜の世界を否定するのか理解できる気がした。
「まさかとは思うけど、気が変わったとは言わないよね」
「え？」
「幸せそうな仲間の姿を見て」
黙り込んでいる様子を選択に迷っていると思われてしまったらしい。まさか彼からそんな質問が飛んでくるとは思わなかった。確かに自分には優柔不断なところがある。一度何かを決めても、少しつつかれただけでふらっと揺らいでしまうこともある。でも。
「それは大丈夫。選ぶ道はずっと変わらない」
「そうか。余計な心配だったね」
どれだけ揺らいでも、最後にはひとつの事を貫く。これまでもそうやって生きてきた。だから、大丈夫。
「そろそろ帰ろうか」
「そうだね。…あっ」
身につけていたネックレスのチェーンが切れ、地面へと落ちた。Aは屈んで「あちゃー」と言いながらそれを拾う。特別お気に入りだったという訳ではないが、今まで当たり前に身につけていたものがなくなるというのは、何故だか寂しかった。
「チェーンが切れたの？」
「うん、そうみたい。あ、バラバラになっちゃった」
「治すよりかは新しいのを買った方が良さそうだね」
「そうだね。そうだ、少しあそこの宝石屋さんを見に行ってもいい？」
「…アクセサリーについて助言はできないんだけど」
「あはは、隣にいてくれるだけでいいから」
半ば嫌々な吾郎の腕を引っ張り、宝石屋へと足を踏み入れた。高級感の溢れるショーウィンドウをまじまじと見ながら、Aは心に刺さる逸品を探す。
「これ、可愛い」
Aの目の先にあったのはハートのネックレスだった。滑らかにハートの形を描き、中心には輝くダイヤモンドが埋め込まれている。シンプルなデザインながらも、目を惹かれてしまう何かをそれは持っていた。
「もう決めたの？まだ5分も経ってないけど」
「こういうの、ほとんど一目惚れで決めちゃうんだよね。でも買うのはまた今度にしようかな」
この世界から無事に抜け出すことが出来たら、自分へのご褒美として買おう。とAは先のことを明るく考え、少しご機嫌になった。
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すみれ(プロフ) - すしをさん» いつも本当にありがとうございます🥹なんて素敵な自分ルールなのでしょう。すしをさんに早く見ていただけるように更新頑張りますね！いつもコメントに元気貰ってます。またいつでも優しいお言葉をお待ちしています🥰 (2月18日 21時) (
レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
すしを(プロフ) - 三学期だ〜！！すみれさんのお話は少し間を空けてから一気見するという自分ルールに縛られ(？)中々最後まで見られていませんでしたが、やはり素敵だ…。無理のない範囲での更新心よりお待ちしております (2月18日 1時) (レス) id: 83df5084ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2024年1月10日 17時
