第五百四十八話 長居は無用 ページ44
「奴の手のひらで転がされて生きていくという時点で、僕はこの世界を受け入れることはないと決めていたけど…この光景を見て、その思いがより明確になったよ」
＿＿＿それは、なんで？
Aがそう口を開こうとした瞬間、後ろから黄色い声があがった。その声の矛先は自分たちの方へと向けられている気がした。
「あれって明智くんじゃない？」
「ほんとだ！最近テレビで見てなかったけど、相変わらず顔がいい…！」
「隣にいるの、誰！？もしかして明智くんの彼女…！？」
Aたちは顔を見合わせる。まさかこんな状況に陥ることになるとは。
「そろそろ退散しようか。ここに長居は無用だ」
「そうだね。いつかのカフェの時みたいになりそうだし」
「はは、君が物凄い形相で走っていたあれか」
「なんかサラッと失礼なこと言わなかった？」
小さく笑う吾郎を横目に見て、唇を尖らせる。そうこうしている間に女の子達がAらの方へ距離を近付けていた。その事にいち早く気がついた吾郎はAの手を取る。
「ほら、こっち」
＿＿＿前とは逆になっちゃったな。
以前は彼の手を引くのはAだったが、今ではその彼女の手を掴み、先へと導いてくれるのは彼になっていた。その心地良さにAは幸せそうに笑った。
◇◇◇
二人は渋谷の駅地下モールまでやって来ていた。ここまで人が多いと逆に吾郎の存在に気付く者は少ない。そのことを逆手にとっての行動だ。
「そうだ、このことも共有しておかないとだね」
「このこと？」
「死んだはずの奥村や一色若葉。彼らについてさ。彼らは単純な幻や認知存在ではなく、本当に『生きている』とみて間違いがない」
「そんなことが…！？」
死人でさえも甦らせることの出来る力だというのか、丸喜が持っている力は。死んだ事実をも消し去り、都合のいいように人々の認知を操作することができるなんて。やはり彼の力は規格外だ。
＿＿＿ちょっと待って。廃人化や精神暴走の影響で亡くなった二人が生きているということは。
「じゃあ吾郎は」
「そう、僕の罪もこの世界では何も無い。その代わりとして獅童は『一人』で国家転覆を企てたとして捕まっている。それは本当の現実でも同じだよね」
「うん…同じ。でも、それだとやっぱり色々なことがおかしくならない？」
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すみれ(プロフ) - すしをさん» いつも本当にありがとうございます🥹なんて素敵な自分ルールなのでしょう。すしをさんに早く見ていただけるように更新頑張りますね！いつもコメントに元気貰ってます。またいつでも優しいお言葉をお待ちしています🥰 (2月18日 21時) (
レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
すしを(プロフ) - 三学期だ〜！！すみれさんのお話は少し間を空けてから一気見するという自分ルールに縛られ(？)中々最後まで見られていませんでしたが、やはり素敵だ…。無理のない範囲での更新心よりお待ちしております (2月18日 1時) (レス) id: 83df5084ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2024年1月10日 17時
