第五百四十六話 イコール愛 ページ42
＿＿＿丸喜先生の研究が中止してしまったことに、獅童が関与している？
彼にとって『獅童』という名前は二度と聞きたくないものだろう。だが彼は獅童について怪盗団には持ち得ることのできなかった知識を有している。ここで聞かずして、いつ聞くのだ。とAは真っ直ぐに彼を見つめた。
「…絶対にそう、とは言いきれない。でも、奴が一色若葉の研究を奪った理由のひとつに『異世界の情報が外に漏れないようにするため』というものがあった。そこから考えると…」
「丸喜先生の研究を中止させたのも、異世界の情報を内々に留めておくためだった。とも考えられそうだね」
「そういうこと」
＿＿＿本当に自分勝手なひと。
今更だが、獅童は同情のしようもないほどの悪人。それが自分の想い人の父親というのはなんとも複雑だ。とは言っても、彼は今は牢獄の中。それこそメメントスで見たような、牢獄の。だからこれからの人生で関わりを持つことはまずないだろうと思っていた。それなのに。
＿＿＿＿貴方は何処まで。
考え込んでいるAのおでこを吾郎がこつんと小突いた。Aは「いたっ」と声を漏らす。
「奴のことを考えている時間は無駄だ。そんな暇があるなら、他のことをした方がよっぽど有意義なんじゃない？」
「…そうだね。あんな人のことより吾郎のことを考えてたい」
「そういう意味で言ったんじゃないけど」
「でも本当だもん」
二人の間にほんのり甘い空気が流れる。それに耐えきれなくなった吾郎は立ち上がり、深く息を吐いた。
「君のそういうところ、苦手だ」
「あはは、その顔で言われても説得力ないよ？」
彼の毒を持つ言葉はイコール愛であるとAは認識している。今の『苦手』という言葉も愛の言葉としてAは受け入れた。彼にそのことを言えば「おめでたい頭をしている」と一蹴されそうだから決して言うことはできないが。
「そういえば、君は明日何をする予定なの？」
「明日…は特に決めてないかな。仲間ともお話はしたし」
彼らにも考える時間は必要なはずだ。また会いに行くというのはあまり得策では無い気がした。
「それなら、君の明日を僕にくれない？」
「え？」
「調べたいことがあるんだ」
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すみれ(プロフ) - すしをさん» いつも本当にありがとうございます🥹なんて素敵な自分ルールなのでしょう。すしをさんに早く見ていただけるように更新頑張りますね！いつもコメントに元気貰ってます。またいつでも優しいお言葉をお待ちしています🥰 (2月18日 21時) (
レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
すしを(プロフ) - 三学期だ〜！！すみれさんのお話は少し間を空けてから一気見するという自分ルールに縛られ(？)中々最後まで見られていませんでしたが、やはり素敵だ…。無理のない範囲での更新心よりお待ちしております (2月18日 1時) (レス) id: 83df5084ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2024年1月10日 17時
