第五百二十八話 胸のモヤモヤ ページ24
「さて、これからのことだけど」
丸喜のこと以外にもこの二人には解決しなければいけない問題がある。パレスでの出来事が衝撃的すぎて忘れかけていたが、この問題を解決しないことには明日の生活をどうするかも決められない。
Aは既に自分の中で答えを出していた。
「私、自分の家に帰るよ。吾郎に迷惑をかけちゃうのは嫌だし」
今の時点でもある程度迷惑はかけているが、彼の家に転がり込むよりはマシだと思う。母をどうにか説得して自分の家に帰ろう。そう考えていたのだが。
「残念だけど、それは無理だ」
「えっ」
＿＿＿無理ってどういうこと？
小首を傾げるAに吾郎は呆れたような、諦めたような目をしながらその理由について簡潔に説明する。
「朋美さんから連絡がきてね。『うちに返すことは許しません』とそれはそれは頑なに言われたものだから。彼女の性格じゃ、君が強行突破で家に帰ったところで追い出されるのが目に見える」
「…想像ついちゃう」
少し頭に思い浮かべるだけでその様子が鮮明に想像出来てしまうのはある意味すごい。Aは自分自身に苦笑した。
「というわけで、今日から僕らは同じ家に帰ることになる。まあ、あの家なら二人で生活する分には十分なはずだ。君も窮屈な思いをすることはないだろう。」
「そ、それはいいんだけど…」
気まずそうに、かつモジモジしているAを吾郎は怪訝そうな目で見る。「何？」と低い声で問われて、Aは言葉に詰まる。
「そ、その。吾郎は私と暮らすの嫌じゃない？」
想定外の質問だったのか、彼の動きが止まる。暫くして彼はため息と共に動きを取り戻し、手で口元を覆う。
「…言葉にしないとだめなのか？」
「だめ」
きっぱりとそう言われては、答えずにはいられなかったのだろう。吾郎は気まずそうにAから目を逸らす。
「嫌、とは少し違うかな。胸は少しモヤモヤしてるけど。」
Aはキョトンとして珍しい様子の彼を見た。吾郎の言う胸のモヤモヤ。もしかしてそれって、とその気持ちに心当たりのあるAはニヤニヤする。
「ドキドキしてる？」
「はあ？僕が？」
「あはは！そんな顔しなくても。私だってすっごくドキドキしてるもん。おそろいだね。」
第五百二十九話 恋人との時間→←第五百二十七話 嫌な記憶が蘇る
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すみれ(プロフ) - すしをさん» いつも本当にありがとうございます🥹なんて素敵な自分ルールなのでしょう。すしをさんに早く見ていただけるように更新頑張りますね！いつもコメントに元気貰ってます。またいつでも優しいお言葉をお待ちしています🥰 (2月18日 21時) (
レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
すしを(プロフ) - 三学期だ〜！！すみれさんのお話は少し間を空けてから一気見するという自分ルールに縛られ(？)中々最後まで見られていませんでしたが、やはり素敵だ…。無理のない範囲での更新心よりお待ちしております (2月18日 1時) (レス) id: 83df5084ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2024年1月10日 17時
