第五百二十七話 嫌な記憶が蘇る ページ23
現実に帰還した頃には体力もそこそこ回復し、一人で歩けるようになったA。今まで肩を貸してくれていた吾郎に感謝を告げ、よろめく身体を何とか自分で制御して立ち上がった。
「本当にごめん。任せてくれたのに、すみれちゃんを助けられなくて」
「相手が悪かった。あまり気にするな」
「…落ち込むよりも他に考えるべきことがあるだろ」
二人とも形は違えど、先程の出来事についてAが自分を責めすぎないように言葉をかけてくれる。Aはそんな二人に微笑み、再び感謝の言葉を伝えた。
「蓮を罠にはめるために、周囲の人間にはあらかた調べをつけていたけど…まさか『丸喜拓人』がこのふざけた事件の首謀者とはね…」
彼の歯に衣着せぬ物言いにAは苦笑する。本当に素直になったというか、辛辣になったというか。
「しかも一人の人間が現実を歪めて、みんなを幸せにするなんて言い出してる。異常な思想だな…理解に苦しむよ」
「まるで自分が神様になったみたいな振る舞いだったね…」
「嫌な記憶が蘇ったな」
二人はクリスマスイブの戦いを思い出す。現実を歪めることができるほどの力を持つ敵と戦ったあの日。それこそあの日は神を相手にしたが、丸喜が同じような力を持っているということは、あの日のような戦いをもう一度することになるのだろうか。いや、もしくはそれ以上の戦いを。
「とにかく、これからどうするか決めないとね。」
「すみれが心配だ」
すみれの救出。それを第一目標とすべきというのは全員に一致した考えだった。だが、だからといってすぐにパレスに戻るということは出来なかった。
「今すぐ乗り込むのは、自ら死にに行くようなものだと思うよ。」
「私たち丸喜先生の力も、そもそもこの世界のこともよくわかってないもんね」
「ああ。精神に作用する力を持っている敵に何の情報もなしに立ち向かうのは無謀すぎる。色々と調べてみることにするよ」
＿＿＿情報収集、か。私にできることはなんだろう。丸喜先生について、どんな情報を知れば私たちは有利になるのだろう。
彼の癖が移ってしまったようだ。Aは斜め下を向きながら静かに考え込む。まずは仲間の様子を確認することから始めようか。などと考えていると、吾郎に肩をポンと叩かれて顔を上げた。
「あいつの言いなりになるのは癪だけど、丸喜は一週間後の1月9日まで待つと言った。来週、またこの場所で会おう。行くよ、A」
「う、うん！蓮、またね。」
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すみれ(プロフ) - すしをさん» いつも本当にありがとうございます🥹なんて素敵な自分ルールなのでしょう。すしをさんに早く見ていただけるように更新頑張りますね！いつもコメントに元気貰ってます。またいつでも優しいお言葉をお待ちしています🥰 (2月18日 21時) (
レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
すしを(プロフ) - 三学期だ〜！！すみれさんのお話は少し間を空けてから一気見するという自分ルールに縛られ(？)中々最後まで見られていませんでしたが、やはり素敵だ…。無理のない範囲での更新心よりお待ちしております (2月18日 1時) (レス) id: 83df5084ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2024年1月10日 17時
