第五百六話 痛みが導く ページ2
「ところで、二人はどうしてここに？」
「すみません、ちょっと雨宮くんに用があって。」
吾郎が余所行きの笑顔をマスターたちに向ける。すると返事をしたのはマスターの隣に座る、青い瞳が特徴的な顔の整った男性だった。
「気分転換に出かけてこいよ。デザートは、ワガハイが責任を持って管理しといてやる。」
「とか言って、ネコババしたりすんなよ？」
「モナなら有り得るわね。」
若葉さんの言葉に私は耳を疑った。
「モナ…！？」
「なんだよ、A。そんなに驚いた顔をして。ワガハイの顔に何かついてるか？」
「…ほんとにモルガナ、なの？」
自分のことを『ワガハイ』と呼ぶ喋り方をするのは、私の知っている限り一人しかいない。でも、その姿は。
「だからそう言ってるだろ。」
「そっ、か。」
年末特番のコマーシャルで見た、今話題の俳優。モルガナの今の姿は、彼の風貌そのままだった。モルガナがなりたいと夢見た人間の姿を彼はこの歪んだ世界で手に入れていた。
「…吾郎、私の頬っぺた引っ張って。」
「これでいい？」
彼は容赦なく私の頬を横に引っ張る。すごく痛い。だが痛みのおかげで目が覚めた。この世界が現実であることもわかった。するべきことも見えた。
「よし、気合い入った。ありがと。」
「それは何より。」
痛みが私を導いてくれる。
「蓮、やっぱりこの世界はおかしいよ。」
「…俺もそう思ってた。この状況について話がしたい。」
「僕達もそのつもりでここへやって来た。場所を移そうか。」
◇◇◇
私たちは近くのコインランドリーへと移動した。まずは蓮に吾郎がなぜここにいるかについての説明と私たちの知る限りの情報を全て話した。
「ルブランで見た光景、現実なんだよね…」
「若葉とモルガナだな。」
うん、と私は頷いた。
「一色若葉が生き返ったこと。それに君たちのお仲間の猫が人間になっていること。どう考えても異常事態だ。」
「ああ、おかしい。」
「…私たちで、この状況を変えられないかな。」
二人の視線が私に向く。
「具体的には？」
「この夢のような現実には覚えがあるの。ちょうどクリスマスイブに起こったあの出来事のような。」
「メメントスとの融合か。」
「そう。だから異世界が関係しているんじゃないかって思うんだけど…」
そこまで言った時、蓮のポケットに入っているスマホが鳴った。
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すみれ(プロフ) - すしをさん» いつも本当にありがとうございます🥹なんて素敵な自分ルールなのでしょう。すしをさんに早く見ていただけるように更新頑張りますね！いつもコメントに元気貰ってます。またいつでも優しいお言葉をお待ちしています🥰 (2月18日 21時) (
レス) id: 945d36a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
すしを(プロフ) - 三学期だ〜！！すみれさんのお話は少し間を空けてから一気見するという自分ルールに縛られ(？)中々最後まで見られていませんでしたが、やはり素敵だ…。無理のない範囲での更新心よりお待ちしております (2月18日 1時) (レス) id: 83df5084ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2024年1月10日 17時
