猫かぶり少女と黒尾くん。５

俺の、 ページ18

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ちらりと睨むように(本人は睨んでいるつもりはないんだろうけど何せ元々の目つきがクソ悪い)、俺を見上げる我が双子の妹・・・美紅に俺は舌打ち。


美紅の右胸あたりでひらひらと揺れる緑色のそれは、俺には着いていない。




｢お母さんに怒られるよ｣

｢・・・別に無くたって名前ぐらいわかんだろ｣

｢そういう問題じゃない｣

｢おっまえ本当に可愛くねーな！｣

｢・・・うるさい寝癖トサカ野郎｣

｢るっせ！仕方ねーだろあの寝方癖なんだから！！大体父さんも同じ寝方だろ！！｣

｢変｣




ばっさり。可愛げもクソもない言い方で切り捨てる美紅。可愛くねー！


と、今日クラスメイトが｢黒尾の妹って可愛いよな｣と言っていたことを思い出し、美紅の顔を凝視。・・・やっぱ可愛くねーわ。




｢可愛くなくてもいいから可愛げのある妹が欲しかった｣

｢私だってかっこよくなくてもいいから優しいお兄ちゃんが欲しかった｣

｢俺は充分優しいだろーが！つーか妹の癖に生意気！｣

｢寝言は寝て言いなよ。だいたい、妹って言ったって数分の差じゃん｣




ハハン、と小馬鹿にしたような表情を浮かべる美紅に、俺はぴきりと頬を引き攣らせる。


なんて生意気な妹。なんて可愛くない妹。折角帰るの待ってやった俺優しくね？今こいつ殴らねー俺超優しくね？？


ち、っと舌打ちを零すと、さり気なくランドセルで攻撃される。この野郎・・・！！




｢死ね！！｣

｢いいけどじゃあ夏休みの宿題も冬休みの宿題も写させてあげないから｣

｢させんした｣




けろっとそんなことを言う美紅に俺は即座に謝罪。悪かった。だからそれだけはやめてくれガチで。


そんな俺を鼻でせせら笑う美紅の性格は、多分父さんばりに悪い。間違いない。だって見ろあの生き生きした表情。母さんをおちょくってる時の父さんの顔そっくりだ。



と、言ってやろうと思ったが本気で宿題を写させてくれなくなる可能性があるので、結局押黙る。くっそ。




｢・・・あ、今日お母さんクッキー焼いとくって言ってたから早く帰ろ｣

｢いやお前のせいだろ・・・って早ァ！！！！｣




びゅん！！と走り出した美紅を、俺は｢っくそ、待てよ！｣バレー部で鍛えている足で思い切り追いかけた。





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