私の、 ページ17
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「みくちゃんっていつも髪の毛可愛いよねぇ」
「・・・そう?」
ランドセルに国語の教科書を入れている途中。隣の席のあみちゃんから投げかけられた言葉に、私はこてんと首を傾げる。
さらり。お母さん譲りのストレートの黒髪が肩から流れ落ちた。
「・・・お父さん、美容師だから」
「え、そうなのー?いいなー!」
「よくないよ。毎朝毎朝ほとんど無理やり結ってくるし、その度にお母さんとのノロケ話聞かされるし」
ち、っとその父親譲りの目つきの悪い目を細めて舌打ちをすれば、びくりと肩を震わせて「そ、そうなんだ・・・」相槌をするあみちゃん。
・・・やっぱり私もお母さんみたいな大きい目が良かったな。
「あ、そういえば拓朗くんってかっこいいよね!」
「えっ」
「え?」
「・・・あみちゃん趣味悪いよ」
「え!?」
何で!?とその大きなくりくりした目を更に大きく見開くあみちゃんに、「だって、」と口を開きかけた。と、
「おい美紅、何してんだよ」
「・・・拓朗」
ガラリ、と。お世辞にも丁寧とは言い難い開け方で教室のドアを開け、私を呼ぶ拓朗────我が双子の兄に、私はちらりと視線だけそちらに向ける。
私似・・・というか完全にお父さん似のつり目は、更に釣り上げられていて。やっぱりこんな凶悪ヅラ男がかっこいいなんて、あみちゃん趣味悪い。
しかも寝方超変だし。寝癖頭だし。
なんてぶつくさ考えつつ、私は算数のノートもランドセルに入れて、真っ赤なランドセルを肩に掛けた。
「じゃあね、あみちゃん」
「う、うん、ばいばいみくちゃん」
ひらひらとその小さな手を振るあみちゃんに私も「ばいばい」とだけ返して、拓朗と一緒に教室を出た。
てくてくてく。私の赤色のスニーカーの横を、黒のどろんこのスニーカーが着いてくる。
「・・・別に、先帰ってても良かったのに」
「ばぁか一緒に帰んねーと俺が怒られんの」
「うちは過保護すぎる」
「同感」
ひらり。風に私の胸に付けている名札・・・「黒尾 美紅」とお母さんの綺麗な文字で書かれたそれが揺れた。
と、そこでふとあることを思い出して「拓朗」声をかける。
「あ?」
「名札、どこやったの」
「・・・知らね」
「どうせバレーに夢中でいつの間にか取れてたんでしょ」
「わかってんなら聞くなよ!!」
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初花love洸水哲蒼(プロフ) - とっても面白かったです!(*´ω`*) 番外編の短編心がポカポカになりました〜 (2016年3月20日 23時) (レス) id: d6c4fa5195 (このIDを非表示/違反報告)
星夜 - 完結からしばらくたってるのに、メッセージ書いてすみません!すごくおもしろくて、きゅんきゅんしました。あの、もしかして、もちづきさんって、ピクシブのこけし屋さんの作品見てたりします?似たような所がいくつかあったので。 (2015年7月24日 8時) (レス) id: 83dc7d9026 (このIDを非表示/違反報告)
クロヅキ - 完結お疲れ様でした。この作品に出合えて本当によかったっ!これからも応援しています!! (2015年4月30日 17時) (レス) id: c79d2db9c3 (このIDを非表示/違反報告)
リア充バルス - 完結おめでとうございます。私にとってこの小説はいじめられっ子の私の唯一の支えだったと思ってます。そして、チョコちゃんやyukaちゃんと仲良くなれたきっかけで大変お世話になりました!これからも応援していますね;_; (2015年4月29日 7時) (レス) id: 68591afdd0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーま - yukaさん» ホントですね!消してしまったんでしょうか… (2015年4月27日 1時) (レス) id: 52d7b185f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちづき。 | 作成日時:2015年2月18日 17時