E組一の問題児 (ページ28)

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カルマside

鳴き声が聞こえ始めて少し経ってからガチャリと玄関が開く音が聞こえた。

玄関の方を見ると額を切り血まみれなA。
やっぱりあの音はAが傷つけられる音だったんだ。
何も出来なかったのが本当に悔やまれる。

「あれ、まっててくれたの？色々付き合わせてほんとごめんね…」

申し訳なさそうにするA。

「それはいいんだけど…怪我、大丈夫？」

血まみれのAが心配だ。

「え？怪我？なんの事？」

ケロッとした様子で返事する。

見るからに痛そうな傷を負った彼女は自分が怪我したこと気づいてないようだ。

「帰ろっか！帰りに駅前のドーナツ屋さん行きたい！！」

俺の心配を他所に元来た道を歩き出すA。

あんなになるまで何度もやられたのに痛いとか感じないの？

「病院行…「あれ、がっくんじゃん。久しぶり。学年1位おめでとう～！」

家の敷地から出て数歩。

椚ヶ丘中学に通ってる人なら誰もが知ってるであろう、橙色の男。
浅野学秀に出会った。

「A…と赤羽？」

珍しい組み合わせだったのだろうか、浅野クンは不思議そうにAと俺の顔を交互に見た。

「額の傷、どうしたんだ？」

浅野クンが自分の額のAの傷がある所を指さして言う。

「…？」

不思議そうに右手で額を触るA。

「血だ」

表情一つ変えずに手に付いた血を見るA。

「カルマかがっくん、どっちか絆創膏持ってない？」

は？

その傷、絶対絆創膏じゃダメなやつ…

浅野クンははぁ…とでっかいため息をついてから

「病院行くぞ。…赤羽も来い。」

と言った。