JUMPの闘病生活。5 (ページ4)

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勝負ページ4

有岡先生サイド

有岡先生「あっつ……」

「そろそろ侑李が帰ってくると思うから外で待ってて」と伊野ちゃんに言われてから、もう20分くらい病院の入り口に設置されている椅子に座っている。

そろそろと聞いたから引き受けたのに、侑李は全然帰ってこない。

俺は、中途半端に残ったペットボトルのお茶を飲み干して立ち上がる。

中庭を歩いて敷地の外まで行き、左右を見回していると、遠くに走っている侑李が見えた。

朝「走ったらダメだからな！」って言ったのに、全力疾走じゃないか。

有岡先生「こら、侑李！走るな！歩け！」

周りに人がいないことを確認してから、俺は大声で叫ぶ。

侑李「あ、大ちゃん先生！」

侑李は俺に気づいたらしく、手を振っていたが、走るのをやめない。

有岡先生「だから歩いて来いって！」

侑李「大丈夫だもん！」

歩けと言っても絶対にスピードを落とさない侑李は、ついに反抗期だろうか。

侑李「えへへ、お待たせ」

有岡先生「えへへ、じゃねぇよ。学校でもそんなはしゃいでたのか？」

侑李「うん、だってみんな心配してくるんだもん」

そんなに派手に動き回ってるから心配されるのでは？と一瞬思ったが、黙っておこう。

侑李「先生、僕のこと待っててくれたの？」

有岡先生「うん。涼介のところ行く前に説明しろって言われたから、ちょっと一緒に来てくれない？」

侑李は、コクっと大きく頷いた。

有岡先生「大丈夫だよ、そんなに悪い話じゃない」

別にいい話でもないけど。

心の中でそう付け足す。

侑李は、涼介の移植のことをどう受け止めるのだろう。

自分が体験しているからこそ、移植をしてほしいとも、辛い治療をさせたくないとも思うのではないか。

それに、移植を失敗する可能性を考えると、俺はもう少し待ってもいい気がする。

今、涼介は結構安定している状態だ。

今使っている薬の効果がなくなったらでも、間に合うと思う。

今移植してGVHDになってしまうより、ギリギリになってから移植してGVHDになった方が、涼介は長く生きられる。

侑李「先生？早く連れてってよ」

有岡先生「あ、あぁ、ごめん。行こっか」

侑李に言われて、俺は歩き出す。

隣でニコッと笑った侑李を見ていると、胸が締め付けられた。