JUMPの闘病生活。5 (ページ29)

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勝負１ページ29

侑李サイド

一点リードでむかえたハーフタイム。

相手チームもミーティングをしていて、僕たちはそれが終わったところだ。

「いけるかもよ？」とか「後半ボロボロにされるかもしれないからやめとけ」とか、みんなが話していた。

海「侑李、今日絶好調だね」

侑李「そう？海こそ調子いいでしょ？」

謙虚な海は「そんなことないよー」と言ったが、調子がよくない人が二点も入れられるわけないと思う。

ちなみに、僕も一回だけシュートを決めた。

海「侑李って、すごいね」

急にそんなことを言われ、思わず「どこが？」と訊いてしまった。

海「努力家なところ。なんか、何にでも全力で頑張ってて、すごいなって」

侑李「はじめて言われたよ。ありがと」

そうお礼を言うと、海は、「なんか恥ずかしいんだけど」と笑った。

本当は、はじめてではなかった。

僕が覚えているなかでは二回目だ、「努力家」だと言われるのは。

最初に僕を〝努力家〟と呼んだのは、涼介だった。

『侑李は才能だけじゃなくて、努力もしてるんだぞ！
　何も知らないくせにそんなこと言ってんじゃねぇ！』

ずっと昔、当時涼介の次に仲良しだった子と喧嘩をしたとき、「才能だけのやつ」と言われ、ただ泣いていた僕にかわって、涼介はその子に怒鳴り付けた。

『俺は、お前のこと、ちゃんと知ってるから』

怒鳴り付けた後で、僕には優しくそう言ってくれた。

侑李「僕、頑張るね、涼介」

誰にも聞こえないくらいの小さな声で、そう呟く。

相手チームが、円陣を組んで、何かを言っている。

ハーフタイムも、残り二分をきった。

海「よし！絶対勝つぞ！」

侑李「おー！」

僕たちは、拳を高く突き上げた。

試合再開に向けて、コートに入る。

大きなブザーの音が競技場に響き渡る。

ハーフタイム終了。

審判の人が、ホイッスルを鳴らす。

心臓の音が速くて大きいけど、なんとなく緊張ではないような気がした。

さっきより長いホイッスルとブザーの音が重なった。

後半戦が、スタートした。

『……九、八、七、六、五、四、三、二、一！』

誰もが、カウントダウンをしていた。

残り二秒で海が蹴ったボールは、外れてしまった。

試合終了。

五対三。

僕たちの、勝利だった。

僕たちは、優勝した。