JUMPの闘病生活。5 (ページ20)

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勝負ページ20

有岡先生サイド

涼介「移植、いよいよ来週だね。緊張する」

目を閉じながら心臓に手を当てて、そう言う涼介。

下唇をしきりに噛んでいるから、今日は体調が優れない日なのかもしれない。

入院着の下に、また細くなった腕が見える。

有岡先生「俺も、緊張してる」

涼介は「なんで先生が？」と笑ったけれど、本当のことだった。

骨髄が定着してくれるのか、拒絶反応は起きないか……今回がダメだったとしても、またドナーは見つかるのか。

全てが〝運〟なのだ。

涼介「俺、緊張してるけどね、わくわくしてる」

思いがけない言葉に、「え？」と言ってしまった。

涼介「学校ってどんなところなのかな、
侑李と一緒に遊んだり、サッカーしたり、楽しいことがたくさん待ってるんだろうなって。
先生たちのこと信じてるから、自分が死ぬかもしれないなんて思ってないよ」

少し辛そうに、でも、淡い期待を胸に抱いていることが感じられるように、涼介は話した。

俺が、もし涼介がいなくなったらと考えていた間に、涼介はもう、その先を見ていた。

涼介「先生も、俺のこと信じて」

有岡先生「あぁ、信じてるよ」

涼介は、嘘つかないもんな。

『絶対に死なないよ』

何年も前に交わしたその約束も、今まで守ってくれたもんな。

裏切られたことなんて、一回もない。

有岡先生「おまえが、『俺は大丈夫』っていう嘘しかつかないこと、よく知ってるよ」

涼介「……いやみ？」

涼介は、ふふっとどこか弱々しく笑ってそう言った。

その顔があまりにも〝病人〟で、

本当に目の前から消えてしまう気がして、

そうだけど？と言い返してやろうと思っていたのに、

俺は何も言えなかった――。