JUMPの闘病生活。３ (ページ9)

今日:20 hit、昨日:6 hit、合計:93,720 hit

家族と相棒ページ9

涼介サイド

不思議だった。

毎日のように症状が出ていたのに、侑李が戻ってきてからは、なんともない。

もう１週間もたつのに。

侑李「涼介、僕ね、あとちょっとで退院なんだって」

涼介「良かったね」

侑李「良くないよ、寂しいじゃん」

涼介「まぁそうだけど、良いことだよ」

侑李は、「ぶー」と言って枕を抱いた。

侑李の前では強がっている俺だけど、侑李がいないときは弱いところも見せられる。

寂しいというよりも、安心したの方が正しい。

侑李に心配をかけるわけにはいかないし、侑李が退院してくれた方が、俺の弱っているところを見られる可能性が少なくなるから。

涼介「侑李は部活とか入るの？」

侑李「……サッカー部かな」

涼介「入るんだ！頑張ってね」

侑李「うん」

侑李がサッカー部に入るというのは、少し意外だった。

でも、侑李ならきっとどの部活でも活躍できるんだろうな、と思う。

侑李は器用だからね。

幼い頃から変わらないそれが、少し羨ましかった。

侑李「涼介も頑張ってね、その……あの……」

涼介「うん」

侑李「待ってるから、僕。学校で待ってるから」

涼介「ありがと」

侑李は枕をぎゅっと握る。

そのとき、急に扉が開いた。

侑李「ちょ、光先生。ノックしてよ」

八乙女先生「結果が出た。奏効(そうこう)だ」

八乙女先生はそう言って１枚の紙を見せる。

難しくて、何が書いてあるのかはわからない。

でも、奏効というのは聞いたことがある。

これこそが俺たち慢性の白血病患者の目標なのだ。

侑李「奏効っていうのは、完治したってこと？」

八乙女先生「そうだよ。治ったんだよ」

八乙女先生は、侑李の頭を撫でた。

侑李は、あまり嬉しそうではなかった。

複雑な顔をしていた。

でも俺は、それに気付いていないふりをして「良かった」と言った。