JUMPの闘病生活。３ (ページ49)

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親子のかたちページ49

侑李サイド

ドラマを見終わり、ベッドに横になる。

掛け布団を顔まで被って目を閉じると、罪悪感が襲ってきた。

伊野ちゃん先生に、１つだけ嘘をついた。

悩み事がない、と言ったけど、本当はある。

でも、悩みというより、後悔の方が正しい。

海に涼介のことを話してしまった。

そして、僕が白血病だったことも。

「そういえば、侑李って兄弟いる？」という聞き方だったから、嘘をつくことは出来た。

でも、僕に嘘をつくなんてことはできなかった。

友達に嘘をつくのはダメだと思うし、海に悪意はないとわかっていたから、話してしまったんだ。

海は何も言わずに聞いてくれて、僕が「隠しててごめん」と言ったら、「別にいいよ」と笑ってくれた。

「俺には言えない事情があるんだなってのは、なんとなくわかってた」と海に言われたときはびっくりしたけど、そう思っても訊かない海の優しさを感じて、嬉しくなった。

「いつか涼介とも会ってね」と僕が言って、その会話は終わった。

僕は寝返りをうつ。

全部を打ち明けた僕の決断は、良かったのだろうか。

わからない。

先生や涼介にそう伝えれば、「侑李のとった行動は正しいと思うよ？」と言ってくれるに決まってる。

でも僕は、そんな言葉はいらない。

優しさだけの言葉より、本当の言葉がほしい。

伊野尾先生「侑李？ ……なんだ、寝てるか」

掛け布団を頭の上まで被っているから、伊野ちゃん先生に、僕が起きてることはわからないだろう。

僕はうっすらと目を開ける。

ふんわりとシャンプーの匂いが漂っていて、掛け布団の薄い生地の向こう側に、伊野ちゃん先生の顔のシルエットが見えた。

先生は、布団の上から僕の頭を優しく撫でる。

伊野尾先生「ありがとな。おやすみ、侑李」

伊野ちゃん先生の足跡が、だんだん小さくなっていく。

その音もやがて消え、時計の音だけが部屋に響いた。

ダメだ。今日はきっと眠れない。

僕はベッドから降りて、勉強机の電気をつける。

伊野ちゃん先生に買ってもらった小学校のテキストを広げた。

毎日5ページ分やるようにしていることもあって、もう6年生のテキストも残り40ページ程だ。

我ながら、勉強とサッカーだけは本当によく頑張ってると思う。

10分位経っただろうか。

漢字を何度も書いて覚えていると、少し眠たくなってきた。

僕はベッドに戻り、目を閉じる。

ふわぁ、と大きなあくびをしたあと、僕はいつの間にか眠っていた。