JUMPの闘病生活。３ (ページ46)

今日:3 hit、昨日:7 hit、合計:93,595 hit

光と闇ページ46

涼介サイド

侑李「じゃあ、行ってきます」

涼介「行ってらっしゃい」

ジャージに着替えた侑李を笑顔で送り出す。

少し目が赤くなっているけど、だいぶ落ち着いていた。

扉を閉める直前まで手を振っている侑李は子供っぽくて可愛い。

起こしていた体を倒して目をつむると、扉がノックされた。

涼介「はーい」

誰かな、と思いつつ返事をすると、勢いよく扉が開いて伊野尾先生が病室に入ってきた。

伊野尾先生「よ！起きたって聞いて外で待ってたんだぞ」

伊野尾先生は片手を高く上げてひらひらと振り、逆の手で椅子を出して座った。

涼介「え、外にいたの？入ってきても良かったのに」

伊野尾先生「だって、２人でいちゃついてんの外から見えたんだもん」

涼介「いちゃついてる訳じゃないから。でも、ごめん。全然気付かなかった」

伊野尾先生「いいから、謝らないでよ。それより、元気そうで良かったよ」

涼介「ありがと」

伊野尾先生が俺の顔をじろじろ見てくるから、少し恥ずかしい。

涼介「あ、俺ってどれくらい寝たままだった？」

自分が倒れたことはわかったけど、それが何日前なのかはさすがにわからなかった。

伊野尾先生「うーん、２日？まぁ、細かく言えば１日と少しかな」

そう聞いてびっくりした。

侑李が泣くほどなのだから、もっと長いと思っていた。

「なんで？」と首をかしげる伊野尾先生に、俺は「なんでもないよ」と言う。

俺も侑李も、何日間か目を覚まさないときは結構あった。

最初はその度に泣いていたけど、回数を重ねるうちに、1日や2日目を覚まさない程度では、泣かなくなった。

それなのに、侑李は泣いていた。

何かあったんだろうか。誰にも言えない何かが。

涼介「あのさ、伊野尾先生。今度のお休みの日、侑李とお話してくれない？」

伊野尾先生「どーした？急に」

涼介「侑李、泣いてたからさ。いつもなら多分泣かないと思うんだ。だから、もしかしたら何かあるのかなって。バレないように、探ってみてくれない？」

伊野尾先生「別にいいけど……。俺は、そういうのは涼介の方が上手いと思うよ？それに、涼介に言えないことは、俺にも言わないと思う」

涼介「うん、ありがと。でもさ、俺もちょっと聞いてみるから、伊野尾先生にも聞いてみてほしいんだ」

伊野尾先生は「わかった」と頷いた。

俺だって、侑李の相談相手になりたい。

でも、悩みの種が俺だったら？

伊野尾先生に頼んだのは、本当にそうだったときのためだ。