JUMPの闘病生活。３ (ページ42)

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光と闇ページ42

侑李サイド

海「おーい、侑李。大丈夫？」

ふわっと浮いていた意識が、海の声で戻ってくる。

侑李「あ、うん。ごめんね。なんかボーッとして」

海「平気？」

侑李「うん、だいじょーぶ！」

僕は、とびっきりの笑顔を作って答えた。

海は「ならいいけど……」と納得していない声で言ってから、足元にあるサッカーボールをつま先で持ち上げ、リフティングを始める。

その見事なボールさばきに感動していると、一瞬、視界が暗くなった。

パチパチっとまばたきを繰り返すと治まるくらいの、本当に軽い症状だ。

「少しでも違和感があったら教えてよ」と伊野ちゃん先生たちに言われているけど、これくらいなら、言わなくてもいいだろう。

海「……何かあった？」

海は、首の上に乗せたボールを落とし、それを手でキャッチしながら訊いてきた。

侑李「……うーん、特に何もないけど、何か変な感じ。ごめんね、ほんと」

海「あ、いや、……調子悪いんだったら、ちゃんと言ってほしかっただけだからさ。大丈夫ならいいや」

海は、ボールを僕の足に向けて蹴った。

僕はそれを受け止め、自然な形でパスが始まった。

―――――また、海に嘘をついてしまった。

心を支配する罪悪感の存在を海に知られないために、足を必死に動かした。

涼介のことを言うべきなのだろうか。

ずっと考えていたそれの答えが出ることはなかった。

答えが出ないまま、時間だけが過ぎていった。

涼介のことを言えばきっと、僕も白血病だったこと、もしかしたら、僕たちに両親がいないことまでもが、バレてしまう。

隠し事ばっかりだ。海と友達でいられなくなるかもしれない。

せめて、再発するまでは。と、僕は思った。

また入院するまでは、〝普通の中学生〟でいたいと。

もう少しだけ隠していようと決心し、海の目を見る。

太陽の光が眩しくて、思わず目を閉じた。

そのとき、急に全身の力が抜けて、バランスがとれなくなった。

ゴンっという大きな音がして、海の声が聞こえる。

海「侑李！どうしたの？大丈夫？体起こすね」

侑李「ごめん、ありがと」

僕がいつもと変わらない声でそう言えたからなのか、海は、「びっくりした」と言っていた。

僕は、瞼を上げる。

「えっ……」という声が口から漏れた。

視界が、真っ白だったのだ。

海が背中を支えてくれていることはわかっているのに、海の顔がどこにあるのか、わからなかった。