光と闇 ページ35
侑李サイド
涼介「侑李、泣かないで?」
僕は、口角をあげる。
起きたばかりの涼介にそんなこと言わせるなんて、僕って最低だ。
侑李「ごめんね。もう大丈夫だから、涼介もそんな顔しないでよ」
涼介「だってっ! だって、侑李が泣くから……。侑李が泣いたら俺も悲しくて、胸がね、誰かに握り潰されてるみたいに苦しくなる」
侑李「涼介!」
僕は、涼介の胸の中に飛び込んだ。
涼介「えへへ、こうやるの、久しぶりだぁ」
侑李「うん、久しぶりだね」
涼介のにおいが鼻腔をくすぐる。
さっきまで泣いていたことも忘れ、幸せな気持ちになった。
侑李「僕もね、涼介が泣くと、胸がギュってなって、泣いちゃうんだ」
「相棒が悲しそうにしてたら、みんな泣いちゃうよね」と付け足すと、涼介は満面の笑みを浮かべる。
涼介の笑顔を見て僕も笑ったそのとき、病室の扉が開く。
涼介「有岡先生? え、なんかあった?」
涙目の大ちゃん先生が急に入ってきて、僕も涼介も驚きを隠せていない。
有岡先生「涼介が起きたって聞いたから、俺、行かないとって思って」
涼介「ありがとう」
有岡先生「良かった。ほんとに良かった」
涼介「ふふっ、反応が伊野尾先生と一緒」
泣きそうな大ちゃん先生と、僕を抱き締めながら優しく笑う涼介。
ずっと昔から見ていた、でも、久しぶりなこの2人に、僕は泣きそうになる。
それに気付いた涼介は、その優しさで溢れた笑みを、僕にも向けてくれた。
そうだ、僕は。
――――――涼介のこの笑顔が大好きなんだ
この優しさが大好きで、ずっと涼介と生きてきたんだ。
有岡先生「りょーすけぇ、ゆーりぃー!」
大ちゃん先生は、僕たちをギュッと抱き締めた。
涼介「ちょ、先生。今俺が侑李を抱き締めてるんだから、待っててよ。暑苦しいよぉ」
そう言いながらも、嬉しそうな涼介。
有岡先生「だって今、抱き締めたいんだもん」
子供みたいなことを言う大ちゃん先生。
大好きな2人が笑っている。
お願いします、神様。
僕たちから、この笑顔を奪わないでください。
涼介を、生かしてください。
183人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:J | 作成日時:2020年5月20日 11時