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家族と相棒 ページ19

侑李サイド

涼介がガクンと僕の方に倒れる。

涼介上半身は受け止めたものの、重さに耐えきれず、2人で倒れた。

涼介「ご、め……」

涼介は、顔を歪めながら弱々しい声でそう言う。

意識をなくして倒れたのかと思ったけど、どうやら意識はあるみたい。

涼介の体を起こそうとしたとき、右手に痛みが走る。

手を見ると、赤く腫れてるのがわかった。

侑李「……大丈夫。涼介、頑張ってね。あとちょっとで先生来てくれるから」

涼介は顔を歪ませ、荒々しい呼吸を繰り返しつつも、怪我してない? と僕の心配ばかりしてくる。

僕は大丈夫だから、と何度言っただろうか。

それにしても、全然先生が来ない。

裕翔、どうかしたのかな? なんて考えながら、もう何も言わずに唇を噛んで、目を瞑っている涼介の腰をさする。

涼介「けが、ない?」

また口を開いたかと思えば、そんなことを言っている。

涼介「手……腫れ、て……」

涼介は苦しそうにそう言って、震えている手を僕の右手の上にのせた。

涼介「……ぃた、い、ね。ご……めん」

侑李「こんなの痛くない! 涼介に比べたら、ちっとも痛くないよ」

僕がそう言ったのと同時に、バタバタと走ってくる足音が聞こえてきた。

その音が聞こえてすぐに、裕翔と伊野ちゃん先生が姿を現す。

伊野尾先生「涼介、わかる?」

涼介は小さくだけど、コクリと頷いた。

伊野尾先生「ちょっと体起こすね」

伊野ちゃん先生は涼介の体をゆっくり起こす。

伊野尾先生「侑李はりょう……いや、こっちおいで。ごめん、裕翔、涼介の体押さえておいてくれない?」

裕翔「わかった」

僕と裕翔は場所を変わった。

伊野ちゃん先生は仕事用の携帯を出して、大ちゃん先生に電話をかける。

大ちゃん先生が電話に出た瞬間、伊野ちゃん先生は「涼介の病室まで来て」と早口で伝えて電話を切った。

伊野尾先生「裕翔、ありがと。りょーすけ、痛いけど我慢してね」

伊野ちゃん先生は、涼介を軽々と抱き上げる。

そして、涼介を揺らさないように静かに歩いて、病室に向かう。

伊野ちゃん先生の腕の中で、苦悶の表情を浮かべる涼介。

思わず、伊野ちゃん先生についていく足を止めた。

兄弟なのに、涼介のこんな顔は初めて見たのだ。

それだけ涼介が強かったことに対しての尊敬と、申し訳なさが入り交じり、複雑な感情が生まれた。

そのとき、

有岡先生「伊野ちゃん、どしたの?」

走って来た大ちゃん先生が肩を激しく上下させながら、そう言った。

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作者名:J | 作成日時:2020年5月20日 11時

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