JUMPの闘病生活。 (ページ23)

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母親の記憶(先生サイド) ページ23

伊野尾先生サイド

午前中の回診を終えて屋上にいると、大ちゃんからLINEがきた。

「もお、なんだよ」と呟きながらLINEを見ると、『涼介について話したい』とのことだったから、電話をかけた。

すぐに「もしもし、伊野ちゃん？」と声が聞こえた。

伊野尾先生「涼介って、なんだよ？どういうこと？」

有岡先生「あいつ、変なんだよ」

伊野尾先生「はっ？何が変なの？」

有岡先生「あいつの様子が変だったからさ、声かけたの。で、熱あるかもしれなかったから、腕を触ってみたんだよ。そしたら、投げ飛ばされた」

大ちゃんが真剣だったから、涼介を心配してるのが伝わってきた。

最後の方は少し笑っていたから、たぶんあまり気にしてないだろうけど。

伊野尾先生「それ、大ちゃんが悪いんじゃないの？涼介は普段そんなことしないでしょ」

有岡先生「普段しないから変なんだよ」

伊野尾先生「うーん。じゃあさ、血液病棟の空いている病室あるだろ？」

有岡先生「うん」

伊野尾先生「そこにいてよ。そこで話聞くからさ」

有岡先生「わかった。じゃ、切るわ」

大ちゃんは、そう言ってすぐに電話を切った。

いくらなんでも、切るの早すぎるわ。

俺は景色を5秒くらい見てから、ドアの方に向かう。

少し開けておいたドアを完全に開ける。

涼介「いの……せんせ……」

そこには、涼介がいた。

大ちゃんから話は聞いていたけど、俺の想像以上に、いつもと違った雰囲気が出ていた。

でも、いつもと変わらないように、対応しないと。

いつもと違う対応をすると、涼介が傷つくかもしれないから。

伊野尾先生「おっ、涼介。どしたー？」

優しく、いつもどうりに言った。はずだった。

涼介は、俺から逃げるように走り始めた。

その足がフラついていたから、俺もダッシュで階段を下りた。

涼介には、すぐに追いついた。

涼介の目の前から、抱きしめた。

大ちゃんだけに変なのか、全員に変なのか、試したいという気持ちもあった。

涼介「いやっ、……やめっ……て、よ」

全員なのか、と心のなかで呟く。

次の瞬間、涼介の呼吸が急に浅く早くなった。

伊野尾先生「涼介！ちょっと待ってろ」

俺は、大ちゃんのいるあの部屋に向かった。

大ちゃんは、涼介を抱えている俺を見てビックリしていたけど、すぐに深呼吸させてくれた。

それから２人係で質問をして、何があったのか聞き出そうとしたけど、結局、涼介は答えてくれなかった。

なあ、涼介。

何があったんだよ――――――