JUMPの闘病生活。2 (ページ7)

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お祭りページ7

涼介サイド

スーパーボールやヨーヨーを大量にとったあと、俺たちは屋上に行く。

もう少しで、花火がはじまるから。

花火といっても、そんな豪華なものじゃないし、3分くらいで終わってしまう。

でもそれが、俺と侑李にとっての花火だから。

他の子は庭にいるけど、俺たちはこの特等席を知っている。

屋上から見る花火は、下から見上げるのよりも大きいから、少し豪華に見える。

有岡先生「そろそろだな、あと、１分くらい」

侑李「花火始まるとさ、あともうちょっとしかお祭りやらないってことだもんね。ちょっと寂しい」

涼介「まだ後２回やるじゃん」

侑李「そーだけどぉ……」

侑李は悲しそうな顔をして、うつむいた。

そんな侑李を励ますかのように、赤とピンクと白が混ざったような花火があがった。

侑李「わぁ……」

侑李の表情も、花が開くようにパッと明るくなる。

その横顔が、花火の光に照らされて、美しく輝いた。

口角がきゅっとあがっていて、すごく可愛い。

俺は、視線を侑李から花火に移す。

真っ暗な夜空に、パッと咲く明るい光の花。

でも、そんな花火でも、どこか儚いような気がする。

すごくきれいに咲いたのに、いろんな人が見上げたのに。

すぐに消えてしまうのだから。

消えたらすぐに、次の花火に移ってしまうのだから。

人生もそうなのかな、と思った。

そして、そうなりたくないな、とも。

大きな花火があがって、再び侑李の顔を照らす。

侑李の顔を見ると、さっきの考えは間違っている気がした。

侑李と生きられたのだから、俺の人生はきっと、儚くも寂しくもないよな。

ある小説に、こんなことが書かれていたのをふと思い出した。

〝人生は、長ければいいって訳じゃない〟

俺たちの人生は、短いかもしれない。

大人はそれを、かわいそうだと思うかもしれない。

でも、決してそんなことはないんだ。

短くても、楽しくて、幸せなら、それでいいもん。

たとえ20年さえ生きられなくても、100年ぶん楽しめば、1000年ぶん笑えば、それは、大抵の人が望む、最高の死なのではないか。

そうだよね、侑李。お前は俺といて、楽しいか？

楽しいと思ってくれたら、幸せだと胸を張って言えるのだったら、俺は嬉しいよ。

侑李「あーっ、もう終わっちゃったよ……」

有岡先生「また見ればいいだろーが」

涼介「そうだよ、また見ようよ」

俺がそう言うと、君は「うん！」と笑った。

その顔には、１番美しい最後の花火が咲いていた。