検索窓
今日:12 hit、昨日:11 hit、合計:96,119 hit

家族と相棒 ページ49

伊野尾先生サイド

涼介の病室の前まで来たとき、光が廊下に出てきた。

伊野尾先生「光」

俺と反対の方向に進もうとした光を呼び止める。

八乙女先生「何? 伊野ちゃん」

伊野尾先生「涼介、大丈夫?」

八乙女先生「え? あ、うん。今は落ち着いてる」

今は、ってことは、さっきまでは大変だったんだろう。

八乙女先生「ってか、何で知ってるの?」

光がそう聞いてきたから、俺たちは休憩スペースで話をすることにした。

俺は、侑李の体にも涼介と同じことが起きたのだと伝える。

八乙女先生「なるほどな……。一致してるから、偶然ではないと思うけど」

伊野尾先生「不思議な話だけど、現実なんだよ」

八乙女先生「でも、そうだとしたらさ、いろいろおかしくない?」

伊野尾先生「どこが?」

八乙女先生「侑李が移植手術受けてるとき、涼介には何もなかった。それに、侑李が治ってるのなら、涼介も治るはずじゃない?」

伊野尾先生「侑李いわく、白血病になってからはそんなに影響されなくなったらしいけど」

八乙女先生「……ふたりがほぼ同時に白血病になったのは、こういうことなのか?」

伊野尾先生「でも、それはわからないでしょ?」

ふたりが白血病だと判明したのは、家族がふたりを病院に連れてきたからではない。

道路で倒れているのを、たまたま通った人が救急車を呼んだのだ。

いろいろな検査を受けたところ、ふたりとも白血病だとわかった。

それと、両親に捨てられたということも。

すでに発病していたから、詳しい時期はわからない。

ただ、病気の進行が同じくらいだったから、同じ時期だと言っているだけなんだ。

八乙女先生「そうか」

伊野尾先生「でも、可能性はあるかもね」

八乙女先生「まぁ、そんなこと言い出したら、きりがないよね」

ちょうど会話が途切れたとき、電話がなった。

伊野尾先生「ごめん、俺、行くわ」

八乙女先生「うん」

俺はそう言ってその場を離れる。

廊下を歩きながら、考えた。

なぜ、今まではなかったのに急に影響されるようになったのか。

それは、何かを意味しているのか。

侑李が移植を受けたこととは関係しているのか。

頭の中には、バラバラのピースがある。

でも、パズルは完成しない。

1枚だけではなく、何枚も足りていないのだ。

「伊野尾先生、ちょっといいですか?」

研修中のナースに声をかけられた。

このままだと仕事に支障が出る。

俺は、頭の中にあるパズルのピースを消して、仕事に集中した。

移行します!→←家族と相棒



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (52 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
154人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:J | 作成日時:2020年4月14日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。