JUMPの闘病生活。2 (ページ44)

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家族と相棒ページ44

涼介サイド

涼介「もぉ、かんわいー。侑李、超可愛くない？」

「これもう録れてるの？」と聞いてるのも、録れてると知ってちょっと慌てたのも。

侑李の動画、可愛さで溢れてるよ。

苦笑いを浮かべている有岡先生が、時々俺に〝危ないやつ〟を見るような視線を送ってくる。

涼介「なにその顔ー。先生は侑李のこと可愛くないの？」

有岡先生「いや、可愛いよ？でも、涼介までいくと、レベルが違う気がする」

涼介「伊野尾先生をホーム画面に設定するような人に言われたくないね！」

有岡先生「あ、おま、それっ……」

涼介「見ちゃったからね！」

有岡先生「絶対だ。絶対本人には言うんじゃねぇぞ」

涼介「えー、どーしよーかな」

別に言う気はないけど、曖昧な返事をしておく。

そうしておけば、有岡先生は、俺のお願いを断るなんてできないからね。

有岡先生「どーしよーかな、じゃねぇよ。言わないでよ、マジで。な？」

涼介「うーん、もしかしたらポロッと言っちゃうかもしれないけどぉ？まあ気を付けるよ」

有岡先生「ポロッと言うなよ、絶対に」

必死になってる有岡先生が面白くて、意地悪したくなる。

涼介「それが人にものを頼む態度ですか？」

有岡先生「おまっ……。すみません。お願いします」

「お前」と言いかけたのは、見逃してあげようじゃないか。

涼介「気を付けるようにするよ、たぶん」

有岡先生「ありがとうございます」

有岡先生は、ペコッと軽くお辞儀をした。

必死な有岡先生を見ることができたから、もういっか。

別に、有岡先生の土下座が見たいわけでもないし。

涼介「先生、侑李に漫画買ってあげて？」

有岡先生「伊野ちゃんがもう買ったって言ってたよ？」

涼介「じゃあ俺に買って」

有岡先生「……一冊だけだからな」

涼介「売店行こ」

有岡先生「……ったく。わ～ったよ」

俺はベッドからぴょんっと飛び降りた。

そのときだった。

ポタリ。

真っ白な床に、赤い滴が落ちる。

有岡先生「涼介！」

ポタポタと次々落ちる滴は、俺の鼻血だった。

そうわかった頃には、視界がかすみ始めた。

有岡先生「涼介、しっかりしろ！」

前に倒れた体を、有岡先生が受け止めてくれる。

有岡先生はそのまま俺を支えて、ベッドに寝かしてくれた。

その後ナースコールを押して、鼻にタオルを当ててくれた。

だんだん体が熱くなってきて、ぼんやりとしてくる。

目を閉じると、まるで意識がなにかに引っ張られるように、遠のいていった。