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家族と相棒 ページ40

侑李サイド

「もうすぐ骨髄移植だから」という理由で、僕は今、涼介とは別の部屋にいた。

伊野ちゃん先生が隣にいてくれるから、寂しくはない。

伊野尾先生「緊張する?」

侑李「ううん」

伊野尾先生「リラックスだよー」

侑李「わかってるから」

伊野尾先生「良かったな、ドナー見つかって。あとちょっとで学校行けるからな」

侑李「……うん」

と言ってみたものの、全然よくない。

死んじゃうのは嫌だけど、涼介と離ればなれっていうのも、それと同じくらい嫌。

侑李「あのさ、僕って、退院したらどうなるの?」

恐る恐るそう聞いてみる。

伊野尾先生「俺の子になるよ!」

侑李「ふぁ?」

まさかの回答に、変な声が出た。

侑李「どーいうこと?」

何でこんな状況でふざけられるのか、僕にはわからない。

伊野尾先生「えーっとね、長くなるけど……」

伊野ちゃん先生の知り合いに、裁判官の人と児童養護施設で働いてる人がいて、その人たちに協力してもらったところ、伊野ちゃん先生が里親の権利を持てたらしい。

でも、僕のお母さんとの関係も続く。

つまり、伊野ちゃん先生は僕の正式なお父さんじゃなくて、育ててくれる人ってことだって。

なんかすごく分かりにくいけど。

伊野尾先生「だからつまりな、侑李は退院したら俺と暮らすってこと」

侑李「へー」

伊野尾先生「反応薄いな」

侑李「なんか難しいね」

伊野尾先生「えっ? もう一回説明しよっか?」

侑李「……もういいです」

伊野尾先生「まぁ、いいんだよ、テキトーで。侑李は言われた通りにすればいいの」

侑李「ふーん」

もう「ふーん」とか「へー」とか、そんな言葉しか出てこないよ。

伊野尾先生「ちなみに涼介も俺の子だから」

侑李「ほんと?」

伊野尾先生「嘘ついてなんのメリットがあるんだよ」

侑李「伊野ちゃんせんせー、ちゃんと育ててね?」

伊野尾先生「わかってるよ」

そっかー、僕たち、離ればなれにはならないんだ。

良かった、と心のなかで呟いて、胸を撫で下ろした。

伊野尾先生「そろそろだから。準備はいいか?」

侑李「うん! ぜっこーちょーだよ!」

僕のその言葉を聞いて、伊野ちゃん先生はベッドを動かした。

僕はそのまま手術室に連れていかれて、麻酔をかけられた。

たくさんの人が僕を見ているなか、だんだん意識が遠のいていった。

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作者名:J | 作成日時:2020年4月14日 13時

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