JUMPの闘病生活。2 (ページ19)

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医者に必要なもの【空詩(LARA)様リクエストです】ページ19

有岡先生サイド

「これもお願いします」と差し出される大量の書類を「はい」と笑顔で受け取る。

俺は今、救急病棟にいた。

なぜそんなところにいるかって？

猫の手も借りたいほど忙しい救急が人手不足になったとき、〝猫より役に立つ手〟としてレンタルされることがあるんだ。

今回はどうやら、毒物カプセルを飲み込んだ患者の手術中に、まだ溶けていなかったカプセルが出てきたらしい。

それで、執刀医たちが4、5人やられてるって。

レンタルって言っても、さすがに手術はできないから、回診の結果をひたすらカルテに打ち込むという雑用を任されてるだけなんだよね。

パソコンに向かって、見たこともない患者の情報を打ち込んでいく。

何時間もたんたんとこの地味な作業を続けていると、目が疲れてくる。

俺はこめかみを押して、天井を見上げた。

そのとき―――――――

「有岡先生じゃないですか、どうしたんですか？」

遠くから話しかけられる。

有岡先生「おう、道枝か。レンタルされてんだよ」

道枝駿佑。去年研修を終えて、立派な救急医になった。

こうしてたまに会うことがあるんだけど、いつも俺を見つけると、話しかけてきてくれる。

道枝先生「そーゆーことですか。大変ですね」

有岡先生「回診、終わった？」

道枝先生「はい」

有岡先生「じゃあ、俺がカルテつくるから、休んでていいよ」

道枝先生「いいっすよ。俺やりますから」

道枝は、俺のとなりに座ってパソコンを開く。

というよりかは、どこに座ってもいいという救急部からの許可を得ている俺が、道枝のとなりの席に座っている。

まあ、この席が知り合いの席だからってこともあるけど。

道枝先生「これ、全部頼まれてるんですか？」

有岡先生「うん」

道枝先生「俺、手伝いますよ」

道枝は大量に積まれた書類を半分くらい取る。

有岡先生「ありがと、でも、ちょっとは休めよ」

道枝先生「休まなくちゃいけないのは、先生も一緒じゃないですか」

有岡先生「そーかもな」

そんなことを言いながらも、俺たちは手を動かす。

パソコンの画面を見ていると、目がチカチカして、頭が痛くなってくる。

俺は「ふぅ」と一息ついて、目を押さえた。

道枝先生「大丈夫ですか？絶対休んだ方がいいですって」

有岡先生「いいよ、別に。これ終わったら、休むから。お前も休めよ？」

道枝先生「……はい」

有岡先生「……よし、やるか！」

俺は顔をパチパチとたたいてから、またパソコンに向き合った。