自己満足のヒーロー (ページ2)

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伊都side

今日は職業体験の三日目。

綾辻(あやつじ)雪斗(ゆきと)「スレイルくん、依頼が来たよ。迷子の猫探し。このくらいなら大丈夫だし、手分けして探そうか」

伊都「はい、雪斗さ＿＿ホワイトさん！」

ホワイトさん、こと雪斗さんは伯父さんで、つい名前を呼びそうになってしまう。

手分けして、か。
信頼されてるみたいで嬉しいな。

伊都「あ！猫…うん、柄を見て…この子か」

猫「シャー！」

慎重に近付こうとする伊都を威嚇し、路地裏に逃げる。

伊都「あっ、行っちゃった…とりあえずホワイトさんに連絡して、追いかけよう」

伊都は猫を追いかけ、広場のような場所に出た。

伊都「えっ、」

地面にこびりついた炭のような“ナニカ”。
わかっているのに、頭が理解を拒む。

そばに、一人の男性が立っていて、伊都を見て笑う。

？「探したよ、朝倉伊都くん」

伊都の体が強張る。逃げたいけれど逃げれない恐怖。

？「君の個性が欲しくてね、色々使えそうなんだ」

逃げなきゃと思うけど…逃げたら駄目だ。
逃げれば一般市民すら殺すだろう。

伊都は一瞬にして糸を生み出し、男性を拘束しようとする。

？「速いね、それに糸の強度もなかなかだ」

反撃とばかりに男性は個性による攻撃を伊都に当てる。

伊都「っっ!!…、まだ…！」

痛みに顔を顰めるがすぐに起き上がろうとする。

？「驚いたな、まだ動けるのか」
男は伊都に触れ、個性を奪おうとする。

？「(個性との結び付き…厄介だね、意識がある状態だと奪えないか)」

先ほどより強い攻撃を伊都に当てる。

？「これでよし、と」

意識を失った伊都に触れて個性を奪う。

伊都「……っ⁉うあ…っつ、」

男性が個性を奪ったその直後、伊都が目を開ける。

？「(速いな…。)君は将来、弔にとって脅威になるだろうからね。恨みはないけど殺させてもらうよ」

男性が作り出した刃が当たる瞬間、伊都は避けて予備の糸を取り出す。

？「まだそんなに動けるのか。元気なのはいいことだけど、少々面倒だね」

男性の刃が伊都の体を貫いた。

？「はぁ、少し時間が掛かりすぎてしまった…ヒーローが来る前にさっさと戻ろう」