【d!】薬種屋さん

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ぐさり、それはそいつの奥深くまでめり込んだ。部屋中に響き渡る悲痛な叫び声を上げてそいつはのたうち回った。力いっぱいナイフをそいつから引っ張り出して、もう1度そいつに刺した。空いた穴からどぽどぽと血が出てきた。ナイフを刺すたびに、肉が裂け、骨が割れる音が聞こえる

「あがｯ…！」

何度も何度も、同じことを繰り返した。醜い音がなり続け、やがて男は静かになっていった

『は、ぁｯ…………』


真っ赤に染った、ナイフ。手。部屋。血だらけの中、裸で座り込む

『は、は………』

やった、やったぞ。息絶えた男を見て、笑いが込み上げてくる。殺した。勝った。私は、生きた。解放感しか感じられなかった

けど、

『う、ぐｯ………ひ、…！』


それと同時に、やってしまったという絶望感に襲われる。殺してしまった。人を救う仕事をするはずだったのに、人を殺した。それも、酷く

冷たい涙がぼろぼろと零れた。吐き気にまた襲われた。どうしてこんなことに、なんで私がこんな目に

私は、何も悪いことしてないのに

なんで、私が__________









あぁ、この世界はなんて残酷なんだ。



神はどこまで残酷なのか。









喉の奥が苦しくなり、酸っぱい臭いが喉まで流れ全て吐き出してしまった。両手をついて、泣きながら、耐えることが出来ず

そのまま何をする気にもなれず、ようやく風呂へと向かった。脱衣場の鏡をふと見れば、酷い体をした私が居た

死んだ顔で、体中を血で染めて…汚い私が映る





生温いお湯を浴びた。私はもう、人間じゃない気がした。あんな簡単に、私は人を殺した。自分が自分じゃないような気がしてきて、またぼろぼろと嗚咽をこぼして泣いた。人間に戻りたいと、ひたすらに泣いた

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