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閣下は重なっていた2枚の書類のうち上のものを手元に持って来つつ、懐からペンを取り出した。
どうやら黒いフォルムの万年筆らしい。
ペン先を露わにして、そして何かを書類に書いておられる。

あれは……サインか?
ということは……?

閣下は書き終えたのかペンに蓋をして懐に戻し、視線を私に向けた。

時が止まったような、そんな感覚の鈍化を感じていた。


「――文句無しの合格だ、おめでとう。
 そしてようこそ、我らが軍部へ。我々は貴殿を歓迎しよう」


合格、した……?

本当に……私が?

私が、軍部に入る?


「本当で、御座いますか……!?」


未だに信じられなくて思わず聞き返してしまう。


「勿論本当だ。こんな嘘は吐いたって損しかしないゾ。
 貴殿は今日から軍人だ。そして我々の盟友となるんだ」


その言葉の重みを噛み締めると共に、漸く視界が現実的になっていく。

私はこれから、此処にいる方々と肩を並べることになるのだ。
なんと素晴らしく光栄なことだろうか。
そして何より、これは私に与えられた私だけのの居場所となる気がしてならなかった。
だからこそ「盟友」という閣下の言葉が私の心の中で凝り固まった黒いものを溶かし始めていた。


「――我々国参謀補佐、ロメラ・ハノートル。貴殿の活躍を期待しているゾ」


参謀補佐、少尉とこれまたとんでもない言葉が連なっているのを聞いて思わず卒倒しそうになるが、そんなことになっては大変だ。どうにか気を保ち前を向く。


「……はいっ! 総ては我らが総統閣下の為に!」


私の声だけが、大きく反響していた。
閣下はこれにまた笑みをこぼされた。

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暁の園(暁夢路)(プロフ) - みしろさん» い、今通知を見てビビり散らしております……か、感謝の極みであります……!! 読みやすいと言っていただけて安心しました、如何せん小生文体が堅くなってしまった人間でしたので(-_-;) コメントありがとうございます、頑張ります!! (2019年11月2日 7時) (レス) id: 2136db8e08 (このIDを非表示/違反報告)
みしろ - 回答パートも嫌味がなくて納得できるし、こんな考え方もあるんだ…!と素直に感心しました…これからも体調にお気を付けて頑張って下さい…!勝手ながら影からひっそり応援させていただきます (2019年11月2日 7時) (レス) id: 950f4c5674 (このIDを非表示/違反報告)
みしろ - 圧倒的な語彙力を感じました…とても読みやすくて頭にすんなり入ってくるので時間を忘れて熟読できました…! (2019年11月2日 7時) (レス) id: 950f4c5674 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁の園 | 作成日時:2019年5月14日 20時

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