48 希望か絶望か ページ49
医務室にこもり紙にペンを走らせるしんぺい神。
電気を消し、カーテンを閉め、オレンジの光を揺らめかせるランプ一つが手元を照らすだけのほぼ何も見えない部屋。
しんぺい神がこれをしている時は切羽詰まってる時か極限まで集中したい時だ。
「ない、ない。」
紙に書いた英語と照らし合わせるように資料をぱらぱらと捲る。
口から漏れでる絶望の言葉に乗るのはほんの僅かな希望の色。
「……あった。」
しんぺい神の手がピタリと止まり、ランプが資料を照らし出す。
そこに書かれた文字は“皮膚が鱗状になる奇病についての研究資料” 。
しんぺい神は幼女の病気に前例はないか、と思い立ち、寝るのをやめて資料室へ走ったのだ。
そこに書かれた文章に目を通す。
“19××年、12歳の少女が発症。医師達は懸命に研究をしたが、その甲斐なく少女は16歳の時に全身の皮膚が鱗に変わり内臓機能が停止し死亡。”
“初例から5年後の19××年、2歳の少年が発症。進行を遅れさせるワクチンを開発したが効果はなし。10歳の時に皮膚呼吸が出来なくなり、呼吸困難に陥った。その後心配が停止し12歳で死亡。”
“その後20年間発症者は30人と少ないが、その全てが未成年で、成人前に死亡。
これを受け医師達は研究に励んだがワクチンの開発は不可能とされた。”
“平均で発症から5〜6年で死亡。遺体は死後数時間後に泡の様に溶けて消えてしまうため、サンプルとして残しておくことは不可能とされた。”
見えかけた希望の光がぷつりと途絶えた。
「治療できひん？そんなん酷すぎるやろ……」
しんぺい神は頭を抱え、机に倒れ込んだ。
外から笑い声が聞こえ、しんぺい神は椅子ごと窓際に寄り、カーテンをちらりと開いた。
庭の向こう側で、幼女が如雨露を片手にひとらんらんと楽しそうに話している。
「……まだ諦めちゃ駄目だよね。」
ふいに幼女がしんぺい神に気付き、手を振って来た。
しんぺい神も手を振り返す。
「グルッペンとトントンだけに相談しよう。まだあの子には笑顔でいて欲しい。」
しんぺい神はそう決意し、カーテンを閉めた。
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冬季氷麗 - か、かわいい (2019年9月4日 15時) (
レス) id: 95b404386d (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - 蜜柑(SCP)さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです！ (2019年8月21日 12時) (レス) id: 62cd828dab (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(SCP) - 神すぎません？ (2019年8月20日 8時) (レス) id: d444c39ebc (このIDを非表示/違反報告)
暁ノ聖(プロフ) - ことりさん» リクエストありがとうございます！2にて消化致しますので暫しお待ち下さい！応援のお言葉もありがとうございます！！！ (2019年2月15日 21時) (レス) id: d4e149fab9 (このIDを非表示/違反報告)
暁ノ聖(プロフ) - からぴっぴさん» うへぇ、面白そうなリクエストありがとうございます！2にて消化致しますので暫しお待ち下さい！、 (2019年2月15日 21時) (レス) id: d4e149fab9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁 | 作成日時：2018年9月17日 18時
