Joker ー切り札ー２ (ページ42)

今日:10 hit、昨日:7 hit、合計:152,305 hit

９１話：未来の可能性ページ42

忍)A

数日後、師匠が病室へとやって来た。
今まで、仕事がいそがしくて殆どお見舞いにはこれていなかった。だけど今日は、師匠以外に見知らぬ家族がいた。いや、女の子の方には見覚えがある。

貴)こんにちは

女の子に笑いかけると、母親の陰に隠れ、わずかに泣いていた。
そして、ご両親が深々と私に頭を下げてくれた。

母)娘を助けていただき、ありがとうございます

貴)い、いえそんな……頭を上げてください

父)娘を助ける為に、貴方を大けがさせてしまった……ホントに、どうお礼を言っていいか……

貴)いえ。私は別に……守りたかったからやったことです。助けられたのは奇跡に近いです。でも、助けてよかったです。ご両親も健在ですし……怪我はなかった？

女の子にそう尋ねれば、コクリと頷いた。それだけで、私には満足すぎる答えだった。

貴)これからも娘さんを守ってください。私からは、貴方方３人がいるだけで、これ以上ないお礼です。

ご両親の顔が上がる。うっすら涙を浮かべていた。

女の子)お姉ちゃん……

私の元にやって来る女の子。そういえば、この子が本部基地近くまで私を運んでくれたんだっけ……。この子もまた、私の命の恩人だな。

貴)ありがとう。貴方が、隊員のいる所まで私を連れて行ってくれたんでしょ？重かったでしょうに……

フルフルと勢いよく首をふる女の子。もう半泣き状態だ。

女の子)助けてくれて、ありがとう……

貴)私こそ。助けてくれてありがとう。

女の子)私も、大きくなったら……お姉ちゃんみたいに強くなりたい！

貴)えっ、いや……うん。いい事だけど……ご両親に心配かけない程度にね……

女の子)うん！

さすがに私に憧れてボーダー入って怪我されたらたまったもんじゃないしな……。その後、家族は病室を出て行き、私と師匠だけが残った。

貴)視えた時、４年前の光景が重なったんです。そして、今回はその逆。もし助けたら、私は死ぬんじゃないかって……そんな事思いました。

師匠は黙って私の言葉を聞いてくれました。

貴)でも、ここで見殺しにしたら……私は後悔しかないと思いました。気がついたら足が動いてて、助けたいって思いました……よかったです。私は、あの家族を救えたんですね。

その時、師匠が私の頭を撫でてくれた。
見上げた時、師匠はうれしそうに笑っていた。