灰色の夢 (ページ8)

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Part 8 ページ8

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そんなある日のこと。
私はまた指名が入る。
弟者さんかな？と思って座敷へと行くと兄者さんだけがいた。

A「呼んでいただきありがとうございます」

兄者「おう、それより酒」

A「はい」

私は兄者さんにお酒を注ぐ

兄者「不服か？俺だけじゃ」

A「い、いえっ！そんなことはないです」

兄者「弟者は今日は来ねぇよ。野暮用でな」

A「そう、なんですね…」

その後も兄者さんにお酒を注ぐが、やはり弟者さんが居ないことに少し寂しさを感じるのか部屋が静かだ。

すると、兄者さんは杯を置く
そしてメガネを外しては私の腰に手を回し顎をクイッと上げた。

兄者「なぁ、お前…どこ見てんだ？」

A「えっ…」

兄者「今日のお前の相手は俺だろ？お前は遊女なんだ。なんで遊女が客を選んでんだ？」

グッ……バタンッ！

着物の襟を引っ張っては押し倒した。その拍子に胸元がはだける。
そして指でなぞるように私のことを触り始める

A「あぁっ……」

兄者「弟者に甘えすぎてるんじゃねぇのか？ほかの男の相手なんかしたことねぇだろ」

ぐっと強く私の胸を触る。少し痛みが走る。

A「そ、そんな、ことっ……」

兄者「だったら今ここで、俺の相手をしろ」

手が胸からお腹へと、だんだん下がっていく。

A「(！…い、いやっ！……)」

兄者「！……」

ピタっ、と手が止まった。
私はそっと目を開けると驚いた顔をしている兄者さんがいた。

兄者「そんな……泣くことないだろ？」

A「あ……」

ポロポロと目から涙が零れた。
自分でも気づかないうちに泣いていたようだ。

A「わ、私っ……」

ポロポロとこぼれる涙を見て、兄者さんはそっと離れた。

兄者「悪かった」

少し顔を背けながら、そっと手ぬぐいを渡す

A「ごめんなさいっ…」

受け取ってはそれで涙を拭いた。

兄者「お前、遊女に向いてないな」

A「……」

またポロポロと涙を零す。
その様子を見た兄者さんが、ため息をついてはあるものを取りだした。

A「それは…篠笛？」

兄者「……」

♪〜

静かな部屋に響く、篠笛の音色
少し悲しさを感じさせる音だが、何故か聴いていて落ち着く。
吹き終わった後には私の涙は止まっていた