Part 40 ページ41
「静かにしろ。」
めろやん・A「！？」
真っ赤な血が付いた刀を振り下ろして鞘に収める。
白目の部分が黒く染まっており、
鋭く睨む青い瞳が私達に向けられている。
めろやん「間に合ったのか」
兄者「まぁね」
めろやん「じゃあ、ここからは交代。」
すると、めろさんは私の後ろに回ってトンっと軽く押した。
A「わっ！…」
私は兄者さんの腕の中に収まった。
めろやん「Aちゃん、またね」
そう言って部屋を出て行ってしまった。
A「あ、ちょ、めろさん…」
兄者「……」
A「……。！……」
後ろから冷たい視線を感じて振り向く。
A「(怖いっ…)」
兄者さんの怒りに満ちた瞳
兄者「大丈夫か？」
A「へっ？…は、はい。」
兄者「なら、行くぞ」
視線には恐怖を感じるが声色がいつもと余り変わらないことに驚いてしまった。
部屋を出て、急いで屋敷の外へと出たが追っ手が来る。
だが…。
「ぐあぁぁっ！！」
ブシャンッ！
ズシャンッ！
容赦なく斬り捨てていった。
兄者「こんなもんか…」
A「(っ……)」
血が辺りに飛び散っている。
恐怖が積み重なり私は足が止まった。
ドクンッドクンッと心臓の音が脳裏に響く。
A「(これが兄者さんの鬼の姿。怖い……弟者さんもおついちさんも…同じ様に？…)」
兄者「おい」
A「は、はい！」
兄者「大丈夫か？」
A「へ？」
兄者「だから、平気かって？」
A「え、あ、はい！…大丈夫です…」
兄者「……」
刀についた血を振り落とし鞘に収める。
すると兄者さんは私に、そっと手を伸ばして抱きしめた。
兄者「怖いか？」
A「少しだけ…」
兄者「だよな…」
スっといつもの瞳に戻る。
そして私の顎をクイッと上げけると口付けをした。
兄者「まぁでも、あまり無茶をするな。」
A「はい。すみません…。」
そして私と兄者さんは一緒に吉原へと戻る。
兄者「今、政府に楯突く連中らが医者を捕らえて人を鬼に変える人体実験をしてるんだ」
A「じゃあ、私の父と母も？」
兄者「あぁ。この国を乗っ取る為に強い兵を作るってらしい」
A「私の…父と母を助けることは出来ないんですか？」
兄者「……」
すると、兄者さんは歩く足を止めた。
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作者名：さくら | 作成日時：2020年1月10日 22時
